(1.4) 時計の寿命はどれくらいですか?


前世紀、前々世紀、あるいはそれ以前の時代において、(機械式)時計は非常に 貴重なものでした。よって、当時としては非常に高度な製造技術をもって 作られ、運用も丁寧に行われました。そのため、いまでもその当時作られた 製品が相当数動態で残っており、オークション等にも頻繁に登場します。 現代の時計はどうかというと、一部の超高級品を除いて量産体制により生産 されており、品質も価格とのトレードオフにより価格に応じて設定されるため、 むしろアンティークより寿命は短いだろうといわれています。それでも機械式 ならばそれなりの出費を覚悟すれば磨耗、損傷した部品を作りなおしてもらう こともできるのですが、電子テンプ式や音叉式、クォーツなどは電池が手に はいらなくなればそれまでですし(AGSやソーラー式などの例外はありますが)、 半導体、ことに専用ICが損傷して補修部品がメーカー切れの場合はほぼお手上げ になると考えてよいでしょう(将来、壊れたICを分子レベルで修復してしまう 技術が実用化される可能性もあることはありますが)。このへんの問題は、 電子テンプ式や音叉式をコレクションする場合に既に覚悟しておかなければ いけないポイントとなっています(このあたりの製品の多くはまだIC化されては いないのが救いといえば救いですが)。 以上からまとめると、時計の寿命は、機械式の場合は修理の出費さえ厭わなけ ればほぼ半永久的、電子式やクォーツの場合はメーカーの補修部品の在庫状態 次第ということができるでしょう。