アートと福祉を巡って

共生の場を求めて


物理的にはもちろんのこと、こころのバリアフリーも
含めて考えると、お互いにコミュニケーションを通じて
理解を深め、信頼関係を築くことが重要である。

そのためには、まず、どこで、誰が、どんな活動を
しているのかを、”知る”ことから始まると思う。

それは、個人のレベルのものから、各福祉施設、
医療機関、研究機関、行政にいたるまでの
広範囲にわたる情報収集と、それらを縦横無尽に
つなぐネットワークが不可欠になってくる。

たいへんな作業かもしれないが、地道にコツコツと
やっていくうちに、出会いがあり、理解し合い、
交流し、集い、輪が広がっていくのだろう。

そうして多くの人を巻き込んでいくうちに、
福祉のことを身近に感じられる人達が増えていき、
日常の中にスーッと入ってくるのかもしれない。





以前、新聞の投稿欄に、車椅子で街に出ている人の
話が載っていた。
「どうして私は自分でやろうとしているのに、
車椅子というだけで、すぐに手を貸すのだろう。」
という趣旨のものだった。

私はドキッとし、それを読んでからは、街で車椅子の
人を見かけても、声をかけるのをためらうように
なってしまった。

まだ若かった私は、たった一つの投稿にも、変に
ナーヴァスになってしまったが、今の私だったら、
”そう?まさに自立生活を始めようとしている
あなたには、今は必要ないわね。でも、しんどい日は
言ってね。”とか、
”自立生活熟練者だったら、きっと、「ありがとう。
でも大丈夫ですよ〜!」と、笑顔で答えてくれたに
ちがいない。”と思えたりする。



人の感じ方、受け取り方は、十人十色。
ちょっとした誤解ですれ違い、
ちょっとした言葉のかけ方で、
受け取り方は、正反対にもなってしまうものだ。

こういう、人の営みの大前提を忘れないでいれば、
きっともっと、カラッと個々にかかわって
いけるのではないだろうか。


”共生の場”には、そんな感覚が必要なのかもしれない。
  


ここに、地味ながらも、有効なネットワークづくりを
目指しているホームページと、前述のアートセラピーの
枠を越え、自己実現の場として、”芸術”の土俵で
活躍中のグループを、2、3紹介したいと思います。

この他にも、知らないところで多くの方々が、
ご活躍のことと思います。
演劇・ダンス・パフォーマンスのほか、
美術(絵画・造形・陶芸etc)、音楽、
書道・写真・文学など、あらゆるジャンルで
秘めた才能をお持ちの障害のある方たちの
情報をお寄せ下さい。

お待ちしております。!!!





「福祉と障害者支援情報の総目次」
タイトル通り、この分野のイエローページ的存在である。
利用する人が増えることで、さらに充実していくと思う。



「日本障害者芸術文化協会」
芸術文化活動をおこなう障害をもつ人の環境を整えるため、
”まなぶ””かがやかせる””まじわる””応援する”の
4つを指針に事業を展開しているNPO(民間非営利組織)。
私は、個人的にここの活動には大いに期待を寄せている。



「劇団”態変”」
金満里主宰。
1983年に結成された、おそらく世界初の障害を持つ人たちの
グループ。大阪を拠点に活動している。
元祖と呼ぶにふさわしく、精力的な活動を続けており、
国内をはじめ、ケニア公演やヨーロッパツァーも行っている。
海外の演劇祭でも高い評価を得ている。



「クリスタル・トゥループ」
岡田牧子主宰。
荒川区希望の家で行っていたダンスセラピーの
活動の、更に発展したかたちとして1998.3に
結成された舞踊団。
障害をもつ人ともたない人で構成されている。
発表の場を、施設内から地域のホールへ、そして
地域以外のホールへと広げつつある。
これからの活動に、目が離せないグループ。
 


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