物理的にはもちろんのこと、こころのバリアフリーも
含めて考えると、お互いにコミュニケーションを通じて
理解を深め、信頼関係を築くことが重要である。
そのためには、まず、どこで、誰が、どんな活動を
しているのかを、”知る”ことから始まると思う。
それは、個人のレベルのものから、各福祉施設、
医療機関、研究機関、行政にいたるまでの
広範囲にわたる情報収集と、それらを縦横無尽に
つなぐネットワークが不可欠になってくる。
たいへんな作業かもしれないが、地道にコツコツと
やっていくうちに、出会いがあり、理解し合い、
交流し、集い、輪が広がっていくのだろう。
そうして多くの人を巻き込んでいくうちに、
福祉のことを身近に感じられる人達が増えていき、
日常の中にスーッと入ってくるのかもしれない。
以前、新聞の投稿欄に、車椅子で街に出ている人の
話が載っていた。
「どうして私は自分でやろうとしているのに、
車椅子というだけで、すぐに手を貸すのだろう。」
という趣旨のものだった。
私はドキッとし、それを読んでからは、街で車椅子の
人を見かけても、声をかけるのをためらうように
なってしまった。
まだ若かった私は、たった一つの投稿にも、変に
ナーヴァスになってしまったが、今の私だったら、
”そう?まさに自立生活を始めようとしている
あなたには、今は必要ないわね。でも、しんどい日は
言ってね。”とか、
”自立生活熟練者だったら、きっと、「ありがとう。
でも大丈夫ですよ〜!」と、笑顔で答えてくれたに
ちがいない。”と思えたりする。
人の感じ方、受け取り方は、十人十色。
ちょっとした誤解ですれ違い、
ちょっとした言葉のかけ方で、
受け取り方は、正反対にもなってしまうものだ。
こういう、人の営みの大前提を忘れないでいれば、
きっともっと、カラッと個々にかかわって
いけるのではないだろうか。
”共生の場”には、そんな感覚が必要なのかもしれない。
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