日本はG7に参加していますが、難民認定数に関しては、他のG7諸国の数百〜数千分の一となっています。これについて、法務省は「難民認定数が少ないのは、申請者が少ないから。認定率は他の先進国と変わらない」などと述べています。
確かに、1981年の難民条約加入以来2001年末までの20年間の難民認定率を比較してみると、
○難民認定数+難民不認定数=2005件
○難民認定数=291件
で、難民認定率は14.5%となります。各国の難民認定率は、
フランス 12%
ドイツ 24%
英 国 11%
米 国 43%
ニュージーランド 19%
ブラジル 27%
ですので、日本の難民認定率は英国・フランスよりも高いということになります。
しかし、この数字はいくつかの大きな問題をはらんでいます。一番大きいのは、日本の難民認定数291件のうち154件は、難民条約とは別に、1979年の閣議決定によって受け入れられたインドシナ難民の人々が、条約難民としてのステータスを得るために別途難民申請をし、その結果それが受理された件数であるということです。この人たちはそもそも日本への受け入れが決まっている人たちであり、他の条約難民とは位置づけが大きく違います。
この人たちの難民認定は、そのほとんどが80年代に行われました。ですから、直近10年間(1992年〜2001年)での難民認定実績を見れば、「条約難民」としての申請に対する認定率が明らかになります。
直近10年間(1992-2001)の難民認定率は、
○難民認定数+不認定数=1280件
○難民認定数=94件
で、難民認定率は7.9%
さらに、難民認定数が低かった1992年から1997年までの6年間にいたっては、
○難民認定数+不認定数=282件
○難民認定数=14件
で難民認定率は5%となります。
この数値を見れば、日本が難民条約に基づく難民申請について、他のG7諸国と比べて難民認定率においても半分程度の実績しか有していないことがわかります。法務省の主張は、80年代のインドシナ難民の「難民認定」数を上げ底に使った、「数字のトリック」に過ぎません。
そもそも、法務省は「難民申請数が少ないから、難民認定数も少ない」といいつつ、ここ数年の難民申請数の増大について「難民制度が不法就労の隠れ蓑になる危険性がある」などとこれ見よがしに懸念を示し、難民申請数を下げるために2000年秋から外務省と結託してアフガン人の正規入国許可を出さないようにしてきたわけです。「難民申請数が少ないから、難民認定数も少ない、難民認定率は他国と同じ」などと胸を張るなら、法務省には、他国と同じだけの難民申請数がきた場合にも、現在と同じ難民認定率を維持する度量を見せてほしいものです。
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