カナダの難民再定住制度について

 ヨーロッパやオーストラリアを始め、世界的に難民受け入れの幅が狭まっている現代。しかし、カナダは以下のような制度をとって、各国で庇護を受けることができなかった難民のカナダへの再定住を促進しています。
 以下の文書は、カナダの難民再定住制度に関する、カナダ市民権・移民省(Citizenship and Immigration in Canada: CIC)のウェブサイトでの説明の日本語訳です。ぜひともご参考にして下さい。
 この文章の原文は以下のサイトで見ることができます。こちらもあわせてご参照下さい。

 

カナダ市民権・移民省難民再定住プログラム(英語)>>

 

カナダへの難民再定住

 カナダ連邦政府は、難民のカナダ再定住を支援します。難民・人道的再定住プログラムは、カナダの人道的伝統を継承するものです。政府の取り組みに加え、民間後援者 の支援により、各種団体及び個人のグループによる難民及びそれに順ずる立場にある 人々のカナダでの生活再建援助が可能となります。
カナダ市民権・移民省(CIC)は、カナダへの再定住を希望する難民の選考を行いま す。難民が適当な期間内において他の選択肢を持っていないことが申請資格となりま す。申請者を難民として受け入れる前に、CICは当該申請者が国籍国または常居国に 戻れない、あるいは庇護を得ていた国に滞在できないことを確認します。同様に、 CICは再定住可能な第三国の有無を調査します。選考された者は、健康診断および安 全、犯罪歴に関するスクリーニングを受けます。また、カナダに生活を再建する適性 を持つことを証明しなくてはなりません。

■難民再定住プログラム

○申請資格について
カナダは、様々な分類に基づいてカナダに再定住する難民の選考を行います。

○カナダ政府が難民に提供する支援について
カナダに再定住する難民は、多くの場合、迅速な生活再建を行う資金を持っていませ ん。カナダは、難民のカナダ居住支援のための複数のプログラムを用意しています。

○審査基準について
カナダ市民権・移民省(CIC)は、再定住の対象になる難民の選考・照会に関して、 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、諮問機関及び民間後援者に依拠しています。

○難民のカナダ再定住に対する支援について
団体、市民及び永住者は、カナダの難民再定住プログラムの重要なパートナーです。

○難民の支援方法について
カナダが必要とする人に提供すべき保護を難民が得るためにあなたができることを紹 介しています。

○カナダに難民として再定住するには
難民は、カナダで保護を受けるためにはカナダ査証部に申請しなくてはなりません。

○特別な保護を必要とする女性
カナダは危険に曝されている女性に即時に保護を与えるための特別プログラムを用意 しています。女性保護プログラムについての詳細はこちらを御覧下さい。


 

難民再定住プログラムへの申請資格について

カナダ市民権・移民省は、カナダへの再定住を希望する人々を難民に関する三つのク ラスに基づいて選考します。

■国外条約難民クラスConvention Refugees Abroad Class
国外条約難民の分類には、国籍国または常居所を有していた国の外にいる人々が含ま れます。この分類に該当する難民は、以下の理由による迫害を受けるおそれがあると いう十分な根拠のある恐怖を有する 者です。
・人種
・宗教
・政治的意見
・国籍 
・特定の社会的集団の構成員であること
このクラスに該当する個人は、政府援助を受ける資格を持ちます。または、民間から の後援を受ける可能性もあります。

■庇護国クラス Country of Asylum Class
庇護国クラスには、国籍国または常居所を有していた国の外にいる人々が含まれま す。このクラスに該当する難民は、以下の事由により、深刻且つ直接に影響を受ける 者です。
・内戦;
・武力紛争 
・大規模人権侵害
このクラスに該当する個人は、民間支援を受けているか、本人及び扶養家族の生活を支えるのに十分な財政的手段を有していなければなりません。

■支援国クラスSource Country Class
支援国クラスは、条約難民の定義に該当するものの、まだ国籍国または常居所を有し ている国の中にいる人々が含まれます。 この分類には同様に、拘留または拘禁さ れ、以下の権利の深刻な剥奪を受けている人々も含みます。
・表現の自由の権利
・言論の自由
・結社の自由
この分類には、表2に示された特定の国の国籍又は常居所を有する者のみが申請する ことができます。この分類に該当する個人は、政府による援助を受ける資格を持ちま す。または、民間からの後援を受ける可能性もあります。

■カナダ−ケベック合意
カナダーケベック合意の下、ケベック州は同州への移住が予定される国外難民の選考 に責任を負います。
連邦政府は、ケベック州により選考された人々が難民の地位の申請資格を有すること を保証する責任を負います。連邦政府は、同様に、査証発行前に、健康診断、安全・ 犯罪歴の確認など法律で定められる入国条件が満たされることを保証します。


カナダ再定住のための難民選考基準について

カナダ市民権・移民省(CIC)は、以下の三つの分類の下で再定住の対象になる難民 の選考・照会に関して、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、諮問機関及び民間の 支援者に依拠しています。
・国外条約難民クラスConvention Refugee Abroad Class;
・庇護国クラスCountry of Asylum Class; and
・支援国クラスSource Country Class.
例外的状況においては、難民はカナダ再定住のため直接申請することができます。

■UNHCR
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は世界中の難民に保護を与えることを目的とし た機関です。 活動の一環として、UNHCRは、再定住が最良の解決策である場合、カナ ダに再定住する難民を特定化します。
一般的に、他の解決策が存在しない、若しくは、実効的な保護が存在しない場合に再 定住が促進されます。ほとんどの難民は他国に再定住しません。
カナダの難民再定住プログラムの要件に合致し、カナダへの入国が許可されるか否か を最終的に判断するのはカナダの査証審査官です。

■諮問機関
諮問機関は、再定住を目的とした難民の照会に関してカナダ市民権・移民省と提携し た機関です。現在、UNHCRがカナダと提携した唯一の諮問機関となっています。

■民間後援者Private Sponsors
民間後援者には、民間難民後援プログラムの基準に合致する団体および個人が含まれ ます。後援者は、18歳以上のカナダ市民又は永住者でなくてはなりません。
後援グループは、難民のカナダ到着から1年の間、難民に対する定住支援提供の義務 を負います。この援助は、住居、衣服または食事の提供などの形を取ることができ、 支援期間は36ヶ月まで延長可能です。
カナダ査証部は選考過程に関与し、申請者がカナダの再定住プログラムの申請条件に 合致するか、またカナダへの入国が可能かについて決定します。


 

財政支援および貸付について

カナダ政府は、難民のカナダ再定住及び生活再建を支援するために複数のプログラム を用意しています。

■再定住援助プログラム
再定住援助は、政府支援難民としてカナダへの入国を許可された国外条約難民および 人道的保護の対象者に与えられます。これらの資金は、以下の経費の支払いを補助す るために付与されます。
・入国する空港または港での出迎え
・必要な場合、一時的な宿泊施設の提供
・恒久的な住居探しの支援
・基本的な家財道具
・就業
・難民が必要な支援へのアクセスを継続的に有することを確保するための支援
この資金は、1年間若しくは難民の自活達成のどちらか早い時点までの期間、難民の 収入を補助するためにも使用されます。

■移住貸付プログラム
移住貸付プログラム (ILP)は、 連邦政府整理公債基金からの 11億ドルの貸出金に より拠出されます。 貸付返済金は、この基金の補充に当てられます。 貸付金は申請 者の必要及び返済能力に応じて決定されます。
貸付金の大部分は、国籍国または常居所を有していた国の外にいる政府支援難民およ び民間からの後援を受けた条約難民及び人道的保護の対象者に当てられます。貸付金 は以下の経費の支払いのために認められます。
・国外での診察費用;
・旅券;
・カナダへの交通費
・永住権取得費用
援助貸付は、家賃、電話加入保証金、職業上の必要具などの費用を賄う目的で、経済 的に困難な状況にある新移民が利用することもできます。
LIPでの貸付には利子が課されます。利子率は財務省により毎年1月に設定され、 条約難民及び人道的保護の対象者には、ILPでの貸付に利子が付されない1年から 3年の期間が与えられます。

■暫定連邦健康計画Interim Federal Health Program
カナダ市民権・移民省は、暫定連邦健康計画(FHP)を運営します。FHP は緊急且つ必 要不可欠な医療を、経済的困難を有する難民申請者及びカナダにいる難民でまだ地域 の医療を享受していない難民に保証するものです。

■共同援助後援Joint Assistance Sponsorship
特別の保護を必要とする女性のように、困難な状況にある難民を援助するために地方 政府およびボランティア団体との協力による特別プログラムも存在します。これらの イニシアティブは、緊急の再定住が必要とされる場合または難民家族がカナダに再定 住を行うのに長期に渡る援助を必要とする場合にも適用されます。政府及び非政府組 織は、これらの難民のニーズに対処するために協力します。


 

難民支援者になるには

団体及び個人は、民間難民後援プログラムの下で、難民を援助することができます。 後援者となるには、カナダ市民または永住者であり、18歳以上である必要がありま す。
後援グループは、カナダ到着から1年の間、難民に対する定住支援提供の義務を負い ます。この援助は、住居、衣服または食事の提供などの形を取ることができます。
特別の場合、支援期間は36ヶ月まで延長可能です。ただし、後援者の合意が必要で す。
支援グループには三つの種類があります

■後援合意締結団体および代理グループ
カナダ全土の複数の機関およびグループは、後援プロセスを円滑化するために後援協 定を締結しました。後援協定締結団体(SAH)は、事前に認可された後援者です。 SA Hは、独自に難民を後援することができ、またSAHの承認を受けた代理グループも 難民を後援することができます。
SAHまたはその代理として難民を後援するには、この申請フォームをご利用くださ い。

■グループ・オブ・ファイヴ
カナダ市民または永住者五名以上のグループは、国外に居住する難民を後援すること ができます。各グループ構成員は18歳以上であり、難民が将来居住する地域に居住 し、さらに定住支援及び補助を個人的に提供しなくてはなりません。
グループ・オブ・ファイヴとして難民を支援するためには、この申請フォームをご利 用ください。

■コミュニティー・スポンサー
 上記以外の方法での難民支援に興味があるグループは、コミュニティー・スポンサー 制度をご検討ください。この制度は、必要な財的資源を有し、難民に対して十分な定 住支援を行うことができる機関、組合および法人を対象としています。コミュニティ ー・スポンサー制度を利用する団体は、難民が将来居住する共同体に代表者を持たな くてはなりません。

■共同援助支援
共同援助支援(JAS)は政府及び民間後援者が、支援なしではカナダへの再定住が許可 されない特別なニーズを持つ人々の再定住のために協力して働く機会を提供します。 政府は、財政サポートを行い、民間支援者は道徳的・精神的サポートを行います。
JASの上限は、2年間です。特別の状況では、支援期間は3年間まで延長されます。
JAS の対象となるケースには以下のものが含まれます。
・特別な保護を必要とする女性
・トラウマまたは拷問の被害者
・大家族
・長期に渡り難民キャンプに滞在していた人々 
・健康状態に懸念がある人


■難民を支援するには
難民を後援するためには、上記の各後援プログラムに示された申請フォームを、申請 フォームにリストされている地域移民局に送付してください。
後援を望む難民を選択または指名しなかった場合、市民権・移民省があなたが支援す る難民を選択します。カナダでの難民支援に関するその他の情報については、CIC Call Centreにお問い合わせください。



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