Cyro Baptista はブラジル出身ながら1980年代以降ニューヨークで活動するパーカッション奏者。 John Zorn の Tzadik レーベル界隈を中心に jazz/improv の文脈での活動が目立つが、 よりメジャーなミュージシャンのセッションにも多く参加している。 この新作は4tetを核にしたセッションを集めたもの。 その 4tet のメンバーとしてフランスの cello 奏者 Vincent Segal が参加している。 Bumcello [鑑賞メモ]、 最近は Ballaké Sissoko とのデュオ [鑑賞メモ] で知られる Vincent Segal だが、 その独特な cello の響きが十分に楽しめる。 kamel ngoni の音色あって西アフリカ風に聴こえたり、 澄んだ acoustic guitar にブラジルっぽさを感じたり、 ゆったり弓引きの cello の曲に地中海の音風景が浮かび上がるようだったり、と、 時には percussion の中心のアブストラクトな展開もあったり。 どこかのようでどこでもない jazz/improv 的な前衛 folk/roots アンサンブルとして楽しんでいる。
New Zion w. Cyro
やはり、John Zorn の Tzadik レーベル界隈を中心にニューヨークの jazz/improv の文脈での活動する Jamie Saft 率いる New Zion Trio。 彼らの3作目に、Cyro Baptista が参加している。 ジャズピアノトリオをヘビーにダブワイズな音処理を美しく合わせ込んだ音楽で知られる New Zion Trio で、 この新作でも “Growing Grow” や “Lamb's Bread” など、そういう曲も楽しめる。 しかし、この新作はピアノの澄んだ音がほとんど聞こえない展開が増え、 そういう所では Bill Laswell / Jah Wobble あたりのプロジェクトに近くなってしまったよう。 一方で、“Chalice Pipe” や Vanessa Saft の歌をフィーチャーした “Sunshine Sea” など Cyro Baptista の持ち込んだブラジル風味も生きた曲もあり、こういう曲をもっと演って欲しかった。