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Review: 『MIYAKE ISSEY 展 — 三宅一生の仕事』 (ファッション展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2016/05/22
Miyake Issey Exhibition: The Works of Miyake Issey
新国立美術館
2016/03/16-2016/06/13 (火休;5/3開), 10:00-18:00 (金10:00-20:00).

ファッション・プランド Issey Miyake 設立者としられるファッション・デザイナー 三宅 一生 の展覧会。 1998年から2000年にかけて世界を巡回した『三宅 一生 展』 [鑑賞メモ] から約15年ぶりです。 前回同様、ブランドとしての展覧会ではなく 三宅 一生 の作家性高いプロジェクトに焦点を当てた内容でした。 前回の展覧会よりは回顧展らしい面もあって、導入部は1970年代のデザイン。 続いて1980年代からは布ではない素材を使った彫刻的な服の取り組みとして「ボディワークス」を取り上げていました。 1970年代はリアルタイムで見ていませんが、造形や素材にその後の方向性は見えつつあるものの、 まだカウンターカルチャー色濃いデザインに時代を感じました。 藤や竹を編んで作った「ラタン・ボディ」 (1981/1982) の彫刻的な衣装など、ほぼ同時代で見ており、少々懐かしく感じたりもしました。

そして、大きくギャラリー空間を取っての1990年代以降の「一枚の布」のコンセプトを強く出した仕事。 前回の展覧会でも大きくフィーチャーされていた Pleats Please と A-POC は今回も大きくフィーチャーされていました。 しかし、今回の展覧会で興味引かれたのは、 2007年に活動を開始した三宅デザイン事務所の Reality Lab と 三宅 一生 の研究開発の成果として 2009年に始めた新しいライン 132 5.。 一枚の布に切り込みを入れて折りたたんでプレスして作る平面へ折り畳み可能な立体的な造形の服。 平面的に畳めるにもかかわらず変化に富んだ立体的な造形になるという意外さもあるのですが、 単に見るだけでなく、ミニチュアの服を小さなトルソに着せることができるコーナーがあり、 布の折り畳まれ方を手に取って知ることができたのが、とても面白く感じました。

Issey Miyake の服は1980年代半ばから同時代的に見てきていて、 最近は色や素材感が好きで Issey Miyake Men の服をよく着ているのですが、 既にデザイナーの座を離れているそういったブランドの服とは違って、 三宅 一生 のデザインの本領は造形的な面白さにあるんだな、と、 132 5. の展示を観ながら 実感した展覧会でした。