まるで本物かのようにリアルな草花の彩色木彫とそれを使ったインスタレーションを作風として、
1990年代から現代美術の文脈で活動する作家 須田 悦弘 の、1990年代から現在に至る活動を追う回顧展です。
現代美術のグループ展で観る機会は多くありましたが、美術館クラスの個展を観るのは『泰山木』 (原美術館, 1999) [鑑賞メモ] 以来、四半世紀ぶりです。
学生時代など最初期の作品が多く展示されており、
卒業制作《朴の木》 (1992) や銀座の野外の駐車場で展示された《東京インスタレイシヨン》 (1994) に、中に入る形で体験できました。
『The Ginburart』 (1993) などゲリラ的な街中展示の1990年代を思い出しつつ、
自律した彩色木彫作品というより、スタート時点から空間というか鑑賞体験を演出すること込みの作品だったのだと、改めて認識しました。
ちなみに、卒業後に1年在籍した日本デザインセンターでのパッケージデザイン、イラストレーションの仕事まで展示されていました。
彩色木彫だけでなく最近はプラチナな金のものもあるようですが、
主張の強い現代美術作品の中で、時には雑草のような草花の彫刻を展示することで見落としがちな所へ視線を誘導するようなささやかなインスタレーションに、
内藤 礼 の作品に近い趣があります。
密度の高い展示でささやかさの趣はだいぶ削がれてしまったかなとは思いましたが、
それでも、隅っこなど建物の所々に仕掛けられたインスタレーションを楽しみました。
最も新しい作風の作品は、2023年以降、杉本 博司 の依頼により始まったという古美術の補作。
といっても古美術をネタにしている所など、須田 というより 杉本 の作品に近いセンスを感じました。