大航海時代以降の植民以前のオーストラリアの先住民アボリジナル・ピープル (Aboriginal people) をバックグラウンドに持つ女性作家7名、1グループを集めての展覧会です。
アボリジナル・ピープル自体の多様性もありますが、
植民地化以降の先住民が置かれた問題をコンセプチャルなインスタレーションや作品として仕上げる現代美術本流の作風の作家 (Judy Watson, Yhonnie Scarce, Julie Gough, Maree Clarke) はもちろん、
むしろ、伝統的な工芸の技法をベースに現代的な表現にアプローチする現代工芸的な作家 (Noŋgirrŋa MARAWILI [Nonggirnga MARAWILI])や、
アウトサイダー・アートやコミュニティ・アートの文脈に近いもの (Tjanpi Desert Weaver, Emily Kame Kngwarreye, Mirdidingkingathi Juwarnda Sally Gabori) など、
様々な制作の背景があるという点を、興味深く観ました。
蛍光するウランガラスの吹きガラスを使った Yhonnie Scarce の洗練されたインスタレーションなど楽しみましたが、
最も印象に残ったのは、オーストラリア中西部の砂漠のアボリジナル・ピープルのコミュニティに属するアーティスト・コレクティブ Tjanpi Desert Weavers による一連のパペットアニメーション。
砂漠の草から作った糸を編んで作った人形の造形はもちろん、
神話や説話に至らないような先住民の間に残されているエピソードの語りとそれに合わせての映像の、
教訓もしくはオチが抜け落ちたかのような力の抜け具合を楽しみました。