世田谷パブリックシアターの秋恒例コンテンポラリーサーカス公演、 今年は2019年 [鑑賞メモ] ぶりに Raphaëlle Boitel 率いるフランスのカンパニー Cie l'Oublié(e)。 今回は、スモークと照明を使った演出にサーカススキルを交え台詞も使った一連のスケッチで、 父と三人姉妹、弟、長女の夫という6名の間の関係の不安定を描いた作品でした
例えば父と次女、結婚後の長女夫妻の不仲が台詞を交えて演劇的に描かれるのですが、 その顛末の描写はあえて避けられ、家族の日常に亀裂が入る瞬間の原因も結果も見えない宙に浮いたような不穏で不条理な状況に焦点が当てられます。 さらに、それをキックにサーカススキルやダンスを使った象徴的な心情表現が展開します。 そんな演劇的な表現と現代的なダンスやサーカススキルを使った象徴的な表現の組み合わせは、 シュールなユーモアもありましたが異化する方向性ではなく、ホームドラマ的な題材に寄り添い過ぎてメロドラマチックにも感じられてしまいました。
うっすらスモークを焚いた空間に輪郭の明瞭な強い照明を当てると光の筋だけくっきり切り出され光と影の境界がスクリーンのようになる効果を使い、 舞台上にマルチウインドウのように複数の場面を並置して切替たり、奥行き方向に並置して光をビートに合わせて前後に動かし細かく場面を切替えたりする、 スモークと照明を使った演出を多用しました。 そんな演出は確かに見応えありましたが、エアリアルのサーカススキルを使った演技が霞んでしまい、その点が物足りなく感じてしまいました。
コロナ禍前は、世田谷パブリックシアターのコンテンポラリー・サーカス公演は
三茶de大道芸の週末に開催されていました。
近年は1週後の週末になっていたのですが、つい昔の感覚で三茶de大道芸と同じ週末 (10月18,19日) と勘違いしていました。
18日に三軒茶屋へ行って勘違いに、そして翌週土曜にダブルブッキングしていることに気づいて呆然。
結局、26日日曜の公演のチケットを取り直して観たのでした。
18日はちょうどプラザ (世田谷線駅前の広場) で大駱駝艦の大道芸を久しぶりに観ることができ、全くの徒労とならずに済みました。
大駱駝艦が三茶de大道芸へ出演したのは6年ぶりとのこと。
パフォーマンスに合わせる音楽はジャズをメインに構成してコロナ禍前 [鑑賞メモ] とはガラッと雰囲気を変えていました。