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Review: 『アンソロジー・フィルムアーカイブス――アメリカ実験映画の地平へ』 @ 国立映画アーカイブ (映画)
2026/01/27
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)

国立映画アーカイブでアメリカ Anthology Film Archives 所蔵の映画を上映する企画 『アンソロジー・フィルムアーカイブス――アメリカ実験映画の地平へ』が開催されています。 アメリカの実験映画、個人映画、インデペンデント映画115本を23プログラムで上映するという大規模な企画ですが、その中から2つのプログラムを観てきました。

『抽象アニメーション作品集』
approx. 59 min.
Film Exercises 1 『フィルム・エクササイズ1』
1943 / John Whitney, James Whitney / 3 min. / 16 mm / color
影響下の Psychedelic な Allures 『誘惑』
1961 / Jordan Belson / 8 min. / 16 mm / color
Lapis 『ラピス』
1966 / James Whitney / 10 min. / 16 mm / color
God Is Dog Spelled Backwards 『神を逆さに綴ると犬』
1967 / Dan McLaughlin / 3 min. / 16 mm / color
An Optical Poem 『オプチカル・ポエム』
1938 / Oskar Fischinger / 7 min. / DCP / color
Polka Graph 『ポルカ・グラフ』
1947 / Mary Ellen Bute / 5 min. / DCP / color
Breathing 『呼吸』
1963 / Robert Breer / 5 min. / DCP / color
Duo Concertantes 『デュオ・コンチェルタンテ』
1962-64 / Larry Jordan / 9 min. / DCP / color
Frank Film 『フランク・フィルム』
1973 / Frank Mouris / 9 min. / DCP / color

アニメーション作家 山村 浩二 [鑑賞メモ] のキュレーションによる20世紀半ばのアメリカでの実験アニメーションの歴史を辿るプログラムで、上映後の本人による講演付きで観ることができ、大変に勉強になりました。 作品の上映はありませんでしたが、Dada のアーティストが関わったフランスの Cinéma Pur (純粋映画) やドイツ Absolute Film (絶対映画) 欧州戦間期 Avant-Garde の映画を起点に、 ナチス台頭後の移住でアメリカ・ハリウッドへにそれをもたらした Oskar Fischinger (Polka Graph, 1938)、 その直系的表現の Film Exercises 1 (1943) や An Optical Poem (1967)。 Henri Michaux の疎なドローイングをアニメーションにしたかのような Breathing (1963)。 Beatnik とそれに続く Hippie といった Counter Culture の下での Psychedelic な Allures (1961) や Lapis (1961)。 Max Ernst の銅版画コラージュをアニメーション化したような Duo Concertantes (1962-64) や名画を早めくりで時間軸コラージュしたような God Is Dog Spelled Backwards (1968) などの抽象というよりコラージュ的な映画。 そして最後は Jonas Mekas [関連する鑑賞メモ] の日記映画、私映画のアニメーション版のような Frank Film (1973)。 と、抽象というよりノンナラティヴな (Frank Film は私的な語りがありましたが) 実験的なアニメーションの系譜を辿ることができました。

『ハリー・スミス作品集』
approx. 54 min.
Film No. 11 (Mirror Animation) 『ナンバー11:ミラー・アニメーション』
1957 / Harry Smith / 4 min. / 16 mm / color
Film No. 15 『ナンバー15』
1965-66 / Harry Smith / 10 min. / 16 mm / silent / color
Film No. 14 『ナンバー14:レイト・スーパーインポジション』
1964 / Harry Smith / 28 min. / 35 mm / color
Film No. 19 『ナンバー19』
1978 / Harry Smith / 12 min. / DCP / color

Anthology of American Folk Music (Folkways, 1952) の編纂で知られ、 Beatnik や Hippie といった Counter Culture に影響を与えた芸術家・評論家 Harry Smiths の映画作品の特集上映です。 山村 浩二 の講演でも言及があり、『抽象アニメーション作品集』の Harry Smiths にフォーカスした続編とも言えるかと思います。 画面の抽象度はあまり高くなく、Counter Culture 的な、もしくは、私映画的な素材のコラージュのようなノンナラティヴな映画でした。

しかし、実験映画を観続けるのはさすがに厳しく、特に『抽象アニメーション作品集』の前半は少々記憶が飛んだ時もありました。 というか、2023年の恵比寿映像祭では [鑑賞メモ] どうして約7時間も見続けられたのだろう、と。気力体力の衰えを感じました。 また、昔 (2000年前後) であれば、こういうプログラムは東京国立近代美術館フィルムセンターというよりむしろイメージフォーラム・フェスティバルのような場で観るものだったな、と、時代の変化も感じました。

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上映の合間の時間に国立映画アーカイブ (NFAJ) 展示室で 『写真展 ハリウッドの名監督たち 映画芸術科学アカデミーのコレクションより』。 写真だけでなく、関連するNFAJ所蔵のポスターも多く展示されていました。 Alice Guy, Lois Weber, Dorothy Arzner や Ida Lupino などの女性の映画人 [関係する鑑賞メモ] も取り上げられていた所に、現代的な企画を感じました。