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Review: 高畑 勲 (演出) 『太陽の王子 ホルスの大冒険』 (映画); 池田 宏 (演出) 『どうぶつ宝島』 (映画)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2026/08/11

国立映画アーカイブの上映企画 『フィルムでみよう!東映アニメーション』で、 アニメーションに関するテキスト等で言及されるのを以前から目にしたことがあれど未見だった1970年前後のアニメーションを2本観ました。

『太陽の王子 ホルスの大冒険』
1968 / 東映動画 / 82 min. / 35 mm / カラー.
演出: 高畑 勲; 脚本: 深沢 一夫; 作画監督: 大塚 康生; 場面設計, 原画: 宮崎 駿; 原画: 森 康二, 奥山 玲子, 小田部 羊一, 大田 朱美, 菊池 貞雄, 喜多真 佐武; 美術: 浦田 又治; 撮影: 吉村 次郎, 片山 幸男; 音楽: 間宮 芳生
声の出演: 平 幹二朗; 市原 悦子, 東野 英治郎 ほか

東映まんがまつり 向けに制作された子供向けの劇場用アニメーション映画で、 高畑 勲 の初監督作にて、宮崎 駿 が初めて関わった長編アニメーション映画として知られる作品です。 NHKでも放映もされたアイヌのユーカラを題材とした人形座の人形劇『春楡の上に太陽』 (1959) を原作とするとのことですが、舞台は「さむい北国のとおいむかし」とされています。 イメージとしては、アイヌではなく、中世の北欧のあたりでしょうか。 ある程度は予想していましたが、オープニングのホルスが父の死を機にそれまでの孤立した生活から仲間を求めて旅立つプロットや演出が、 『未来少年コナン』 (1978) の第一話とここまで似ているとは、びっくり。 たどり着いた村での諍いや悪魔との戦い、ヒロインであるヒルダの二面性など、単純な善悪の対立として描かないキャラクターやモチーフも、 『未来少年コナン』のハイハーバー編 (第13〜29話) での荒地の孤児たちの問題やガンボードとの戦い、モンスリーの葛藤の原型とでも言えるもの。 後に『未来少年コナン』の中でより洗練された形でリメイクされたキャラクターやモチーフ、プロットや演出が、その10年前にさほど遜色無い形でこうして実現されていたことに、感慨深いものがありました。

『どうぶつ宝島』
1971 / 東映動画 / 78 min. / 35 mm / カラー.
演出: 池田 宏; 原作: ロバート・L・スチーブンソン (Robert Louis Stevenson); 脚本: 池田 宏, 飯島 敬; 作画監督: 森 康二; アイデア構成: 宮崎 駿; 原画: 宮崎駿, 小田部羊一 ほか; 美術: 土田 勇; 撮影: 平尾 三喜, 藤橋 秀行; 音楽: 山本 直純
声の出演: 松島 みのり, 天地 総子, 小池 朝雄, 富田 耕生,山本 直純 ほか

やはり、東映まんがまつり向けの劇場用アニメーション映画です。東映動画で 宮崎 駿 が参加した最後の作品になります。 社会の複雑さ、多面性を描こうとした『太陽の王子 ホルスの大冒険』の様な作品ではなく、比較的シンプルな冒険活劇ですが、 ヒロインのキャシーに後の 宮崎 駿 の作品のヒロインの人物造形のルーツを観るだけではなく、 海賊たちのキャラクターやエピソードのプロットに『未来少年コナン』のバラクーダ号の、 ラストの狭い稜線での戦いの場面や山頂の湖の水が抜けて宝が発見されるプロットに『ルパン三世 カリオストロの城』 (1979) での演出やプロットの原点を観るようでした。

このアニメーション映画2作品を観ていると、小学生の頃に同時代的に観た『未来少年コナン』や『ルパン三世 カリオストロの城』が思い出されてしまい、 その原点としての興味深さはあれど、アニメーション表現としては後の作品の方が洗練されていたと感じてしまうことも否めず。 1970年前後の日本のアニメーション映画としては画期的だと言われていることは知るものの、 なるほど凄いと実感するにはそれ以前の日本のアニメーションに疎すぎたでしょうか。 今回の上映企画では見逃しましたが、1950〜60年代日本の東映動画も観たいものです。