2024年の Les Rencontres de la Photographie, Arles (アルル国際写真写真祭) で企画され、その後、欧米巡回した展覧会
I'm So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now の凱旋帰国展です。
欧米巡回時の26名に4名 (今井 壽惠, 岩根 愛, 藤岡 亜弥, 米田 知子) が加わる拡大版で、
日本の戦後から現代までに活動した女性写真家を集めたており、大規模かつオールスター的です。
出展作家のうちおよそ三分の一は美術館レベルの個展を観たことがある作家で、おそらくこの展覧会で初めて観たのは数人程度でした。
会場は美術館ではなく、渋谷宮益坂口にある高層複合施設 渋谷ヒカリエの中層階にあるコンベンションホールでした。
実験工房の APN (Asahi Picture News) がカラー時代だったらと思うような
山沢 栄子 [鑑賞メモ] の «What I Am Doing» シリーズ、
岡上 淑子 [鑑賞メモ] のシュルレアリスティックなフォトコラージュ、
杉浦 邦恵 [鑑賞メモ] のフォトグラムと、
導入部にかなり好みの作家が並んでいて引き込まれたのですが、次第に失速して、
第1章を出た辺りにあった 石内 都 [鑑賞メモ]、やなぎみわ [鑑賞メモ] を最後に、観ていて集中が切れたようになりました。
第3章以降の多くを占める21世紀に入ってからの作品は、写真1枚に目を止めさせるような完結した強度を求めず、
連作やインスタレーションからコンセプトなり雰囲気なりを浮かび上がらせる作風が主流となったため、
このような大規模な展覧会の中では、アイキャッチに乏しくぼんやりした印象になってしまったでしょうか。
そんな中では、第2章以降の広いホールにフラット気味の照明とは違い、展示空間の照明がコントロールされていたこともあり、
初めて 蜷川 実花 の作品を良いかもとしれない、と。
また、網羅的とも言える展覧会だけに、むしろ、日本の写真史であれば必ずのように取り上げられるけれどもこの展覧会に無かった作風が気になりました。
例えば、東松 照明、細江 英公、奈良原 一高 あたりの新興写真をさらに発展させたような Provoke の「アレ・ブレ・ボケ」写真以前の1960年前後の作風や、
柴田 俊雄、伊奈 英次、畠山 直哉、松江 泰司、鈴木 理策 のような風景や建築物を抽象絵画のように撮る作風など。
全体としてモダニズム的というよりシュルレアリズム的な傾向が強いディレクションだったので選択から外れたのか、写真界が男性中心的だったため女性作家に作風の偏りが生まれたのか、
そんなことを考えさせられる展覧会でもありました。
神奈川県立近代美術館 葉山の『もはやない国のかつてない光 東ドイツの女性写真家たち』 [鑑賞メモ] と相互割引のある美術館連携企画ということですが、 女性写真家の展覧会ということ以外、写真のスタイルから企画の方向性まで共通点を感じられませんでいた。 単なるプロモーション上の企画に過ぎない、ということでしょうか。