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Review: イタリア現代美術展 『境界を越えるアイデンティティ 人間と自然の対話 ファルネジーナコレクション』 Mostra d'arte contemporanea - Identità oltre confine - Dialogo tra essere umano e natura nelle opere della Collezione Farnesina @ イタリア文化会館 (美術展)
嶋田 丈裕 (Takehiro Shimada; aka TFJ)
2026/10/12
Mostra d'arte contemporanea - Identità oltre confine - Dialogo tra essere umano e natura nelle opere della Collezione Farnesina
イタリア文化会館 エキシビションホール
2026/09/12-2026/10/22 (日休). 10:30-17:30
Carla Accardi, Letizia Battaglia, Elena Bellantoni, Tomaso Binga, Silvia Camporesi, Gea Casolaro, Martina della Valle, Iginio De Luca, Loredana Di Lillo, Rä di Martino, Paola Gandolfi, Silvia Giambrone, Maria Lai, Ketty La Rocca, Elena Mazzi, Mario Merz, Elisa Montessori, Mariagrazia Pontorno, Laura Pugno, Agnese Purgatorio, Marta Roberti, Marinella Senatore.

イタリア外務・国際協力省 (Ministero degli affari esteri e della cooperazione internazionale) の企画によるイタリアの現代美術を紹介する展覧会です。 外務・国際協力省の本部の建物は Palazzo della Farnesina (ファルネジーナ宮) と呼ばており、 その現代美術コレクション Collezione Farnesina は、イタリアでも有数とのこと。 2023年に続いての企画とのことですが、コレクションの25周年を記念して開催された今回は、 “Radici di resistenza’「抵抗の根」、“Geografie del distacco’「離脱の地理学」、“Ecologie instabili’「不安定な生態系」の3セクションで フェミニズム、移民・難民問題や地政学的不安定、環境危機などのテーマを扱った作品を集めていました。 出展作家の大半は女性で、1970年代に遡るものもありましたがほぼ21世紀の作品で構成されていました。

イタリア文化会館のエントランスのホールを使っての展示ですし、絵画、ドローイングや写真などの平面作品やビデオ作品を中心とした展示で、 ガッツリ作り込んだインスタレーションがあるわけではなく、その点は物足りなく感じました。 しかし、初めて観る作家ばかりで、しかも、社会問題を直截に扱う展覧会を女性作家メインで構成できるほど層の厚さがあるのかと、感慨深いものがありました。

そんな中で気になった作品は、Elena Bellantoni の The Fox and the Wolf: Struggle for Power 《キツネとオオカミ 主導権をめぐる争い》 (2014)。 白狐のマスクをした男性と、狼のマスクをした女性の競技ダンスのペアが、ファルネジーナ宮の会議室でタンゴを踊る様を捉えたビデオ、スチル写真、マスクを組み合わせて展示した作品です。 音楽は使わずに英語のナレーションを背景に、通常のタンゴと異なり時に男女のリードを入れ替えたりもします。 男女関係のメタファーとしてのダンスというだけでなく、踊られている場もあって、国際政治、文化のポリティクスのメタファーとも感じられる面白さもありましたし、 本来ダンスを踊るような場ではないということもあってか、競技ダンサーらしいキレの良い動きに目が止まりました。

Elena Bellantoni はパフォーマンスやビデオを多用する作家ということで、 Vimeo に公式チャネルを持ち作品を公開しています。 最近公開されたばかりの Ruinate (2026) を観てみたのですが、 DIYフェミニズムも連想させるフェルトでできた甲冑を着た女性騎士たちによって、Jeanne d'Arc 以来の女性たちの「闘い」を語らせるような作品でした。 映画的な映像美で語るというより、サイトスペシフィックなパフォーマンス作品の映像化という面が強いですが、 そんな面も含めて面白く感じました。