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PC処世術 - 雑感:年賀状印刷サービスの分厚い葉書の罠


 今年2006年も、年が明けてから早1ヶ月が過ぎ去ろうとしている。今年は昨年の郵政民営化法案可決への抵抗(?)なのか、1月中盤になってからも尚ぱらぱらと遅れて配信された年賀状を眺めながら,我が家で起こった昨年末の年賀状印刷騒動を思い出したので記しておきたい。
 例年の筆者は、普通に売られているインクジェット用紙の年賀ハガキを購入し、宛名面には住所を印刷し,裏面は適当に絵柄を作成して印刷した上で一筆添えるという具合にしていた。
 ここには人それぞれの考え方があるようで、“一筆添えるのは大変なので宛名だけは直筆で”という向きもないではないが、筆者のところに届く年賀状を拝見すると,多くは筆者と同じスタンスを採っている。勿論、表も裏も直筆という心のこもった年賀状を下さる方もおられるが,いずれにしても“宛名だけ直筆”という方は少数派であるようだ。
 誤解なきように断っておくが、別段筆者は年賀状を書くにあたって表面にしろ裏面にしろ、そこに肉筆があることを重視しているわけではないし、他人にそれを求めようとも考えていない。年賀状に対する考え方などまさしく人それぞれだろうし、それに文句を言う筋合いのものでもないからだ。

 ところが昨年暮れに作成した年賀状において、筆者は宛名面を手書きすることを強要された。事の発端は,今年の筆者が少し奮発して年賀状の裏面の(写真)印刷を業者に頼んだところにあった。
 最近は高度情報化時代の到来のおかげで、こうした印刷の注文もインターネット経由で行うことができ、実にカンタンだ。Web上でデザインを選択して写真をアップロードして注文すれば、完成した葉書が送られて来る。更には宛名書きと投函まで行ってくれるサービスまで存在するらしく、そうなると完成品を注文者が一度も見ないというケースもあるようだ(個人情報保護の観点から、どうにも筆者には手が出ないのだが)。
 その便利さに甘えてみた筆者であったが、いざ完成品に宛名を印刷しようとした矢先に事件は起きた。それは仕上がった葉書がプリンタを通らないという事態だ。何としたことか、印刷を開始した途端,プリンタの紙送り機構の樹脂ギヤがガリガリと悲鳴を上げて印刷は失敗に終わったのである。どうやら、写真を印刷したハガキの厚さはプリンタが扱える範囲を逸脱していたらしい。確かに、ポストカード印刷の受け付けサイトには極めて小さい文字で“ホームプリンタで印刷する場合には…云々”と書かれていたいような気もする(今になって注文サイトでその文面を探して見たが、見つけられなかった)。

 そこで、外注で写真を印刷したハガキがどの程度の厚さなのかを測定してみると、それは0.39mmであった。筆者の所有するプリンタの使用では、最大0.3mmとなっている。有効数字を考えると 0.34mm程度までが許容範囲かもしれないが、それでも 0.39mm という厚さはプリンタで扱える範囲を大きく逸脱している。因みに、筆者宅に届いた年賀状のうち、外注したと見られる写真入葉書の厚さも測定してみたが、大体 0.38〜0.40mm という厚さになっているようだ。これは写真を印刷したプラスチックフィルムをハガキに貼り付ける、という工法上の制約なのだろうか。
 そして、問題は筆者のプリンタだけなのだろうかという疑問を生じたので、複数の有名プリンタのカタログスペックを見てみると、多くのプリンタの限界は 0.3mmと表示されていることが分かった。つまり、写真入りポストカードの印刷サービスを利用した場合、宛名は手書きに限定されるということだ。
 そういう目で、筆者宅に届いた年賀状の宛名欄を見ると、業者による写真入年賀状における宛名面のワープロ率は10%以下であった。それ以外の年賀状では宛名面のワープロ率が 50%を超えていることを考えると、確かに少ない。

 筆者のような一般消費者から見ると、この年賀状印刷というジャンルは既に成熟した分野で、トラブルに見舞われることはないだろうと思っていたのだが、実のところは大した競争も進んでおらず、進歩が途上の分野であったようだ。価格的にも決して安いとは言えず、サービスは未だにアナログ仕様のままというこのサービス。今後激しい競争の時代が来るのか、あるいは衰退の一途をたどるのか,昨年泣く泣く宛名書きを行った筆者としては、今後は当事者にはならず見守ることとしたい。(31. Jan, 2006)

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