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今回入手した日本電気のPC98-NX(ぴーしー きゅーはち えぬえっくす)は、 NEC が PC-9800シリーズ路線を大転換し 新規のアーキテクチャー機として創った従来の98でもPC/ATでもないパソコンである。 最初のうちは動作原理を等しくする現行のPC/ATと混同されて混乱を招くであろうが、今しばらくすれば周辺機器の対応などの知識も浸透するであろう。
幸い、IOデータ機器(⇒www.iodata.co.jp)やメルコ(⇒www.melcoinc.co.jp)などからNXに関する対応情報も配られているので素人でも困ることはないであろう。 またNXは従来の9800と同様にも素人に扱いやすいようにできているのであまり問題はないであろう(マニアはやはり満足できないだろうが、それは本来の98の使い方ではないので無視する)。
私がmobioを弄りはじめて数刻‥‥‥‥とりあえず再インストール! わりと無茶苦茶な様に思われるかもしれないが再インストールは NEC機にとっては重要なチェックポイントである。 NECのパソコンは9800のころから再インストールに関して後進的だからね(笑)
で、mobioはどうであったかといえば、
「なめんなNEC」
の一言であった。特定の商品を買い足さねばバックアップCD-ROMからは事実上、Windowsの復旧はできないのである。マニュアルには一言もふれていないがバックアップCD-ROMから工場出荷状態にパソコンを戻す方法は特定のSCSIカードとCD-ROMドライブを使用した方法ただ1つである。 つまり豊富なサードパーティの周辺機器やNECの昔のドライブはインストールに使えないのである。 これはJEIDAカードを認識するためのソケットサービスとカードサービスを実現するドライバーが添付されていないことに起因する。
通常、このドライバーをDOSのCONFIG.SYSに記述することでDOSはPCカードをはじめて認識することが可能となるのだが、これはパソコンごとに固有のものが必要となり、他から持ってくればよいというものではない。
分かりやすくいえば「復旧したければ新たに4万円出してNEC純正部品を購入してね」ということである。いかにもNECらしいことではあるが、今までに 9821note を2世代にわたって使用してきた私は既にCD-ROMドライブもSCSIカード(とエプソンPCに接続するためのLANカード)も持っているのだから納得いく訳がない。
私が所有しているSCSIカードはIOデータ機器の「PCSC-V」であるが、現在IOデータではこの問題を打開する手段を作っているようだ。 Bit-INNと同じ階にあるショールームに行った際には「その問題は確認しており、現在、ドライバーを作っていますので‥‥できましたら郵送しますので御住所とお名前を‥‥」とか素早い応答で魅了してくれたが、今回はサポートディスクが届くまでは待てないという逼迫した状況だったのでPC/AT用のWindows95 OSR2.1 CD-ROMから再生を図った。
1997/12/15 に I・Oデータ機器より サポートソフトウエアVersion.1.06 が届き、それにはPC98-NXシリーズに対応するためのプログラムと方法を書いたドキュメントファイルが入ってました。 現在では I・Oデータ機器の SCSI PCカードからも問題なく工場出荷時の状態に再生できます。 他のメーカーは知らないけど・・・ |
用意するのはインターリンク用パラレル接続ケーブルとパソコン1台(双方向パラレルなPC/ATか、 36pinのプリンターインターフェイスを持つ9800シリーズ)。 ケーブルはパラレルインターフェイスの形状により種類があるので、購入時に間違わないように。 それからパソコン通信ネットやインターネットなどからファイル転送用のプログラムを入手しておく。 ちなみに私が使ったのはフリーソフトウエアのRDISK 6.00である。ちなみにRDISK 6.00ではシリアルポートでの転送も可能なので旧型のパラレルポートを持つ9800やEPSONPCではそちらの方を試してほしい(できるかは試せてないので私は知らない)。
詳細はRDISKのドキュメントから理解してほしいが、いちおう流れを記しておくと
※ちなみにPC-9800互換機ではPIOIBMの代わりにPIONECを使うので注意。
- mobioの電源を入れたら「NEC」のロゴがでている間に[F2]キー を押してBIOSの設定モードにする
- 左から2番目の「Advanced」を選び、その中に一つだけある選択肢の ところで[ENTER]を押す
- そうするとBIOSの設定をいじる画面になるので
LPT Port : Enabled
LPT Mode : Bi-Directional- BIOSの設定が終わったら設定を保存し、再起動
- mobioに付属するシステムインストールディスク(起動用)でmobioを起動する
- 起動したら自動的に立ち上がるプログラムを画面に従って終了
- RDISKの各ファイルを解凍(.LZH圧縮状態から元の状態に戻すこと)した ディスクに差し替えて PIOIBM を起動
- つづいて RDISK /MC として通信を始める
- もう一方のパソコンも同様にして RDISK を起動するが、こちらは RDISK /MS
- あとはmobio(クライアント側)を操作して OSR2.1のCD-ROMから\WIN95内のファイルを全部mobioのハードディスクに コピーする
- \WIN95のファイルをコピーし終わったらSETUPでインストールを開始する
※RDISK600.LZHのファイルはWindows95のDOSでは動かないのでUPRDISK.LZHでバージョンアップしておくこと。
ちなみにRDISKはinternet上では発見することができなかったが NIFTY SERVE (FILE FIND 機能で探せばでてくる)や 東京BBS(⇒www.tokyobbs.or.jp) (@PDOS 242、ただしUPRDISK.LZHが無いので私が後でUpLoadしておこう) などにある。 これで完全とはいえないがWindows95をインストールするまでは可能となる。この場合に発生する問題点は以下にあげておく。
- NeoMagic用のドライバーがないのでVGAモードだけしかつかえない (640*480*16色)
- レジュームから復帰すると画面が真っ黒で使えないことがある (DOS窓を開くなどして画面モードを変えるとよい)
- DOS窓内でIME(かな漢字変換)が立ち上がっていると [BackSpace] が 機能しないことがある
- DOS窓標準のIME(MS-IME)が勝手にこけてDOS窓がハングる (これはMicrosoftがIME作ること自体が駄目なのかも(笑))
とりあえず机の上に置いてタッチタイピングしているが問題ないように思う。まだ慣れていないのでミスタイピングは多いが PC-9821La10 (B5サイズノートパソコン) のときもそんな感じだったのでそのうちに平気になると自身では思っている。
デスクトップから直接の移行組は最初は大変かもしれないけど・・・・まあそのときはPS/2キーボードでも買って接続する手もあるけどね(私は家ではデスクトップ用のキーボードを接続している)。 私感としては、リブレット70の様にキーピッチを大きくしても慣れなきゃ意味がないし、慣れればそれなりにmobioの狭いキーピッチでも打てるのだから、指が太いとか物理的に駄目な人以外は大差ないのかもしれない。
また FD3.13 や MIEL、 Elis などの主要ツールも ありがたいことに各ツールの作者の努力により9800と変わりなく存在し、快適そのものである。
9800からの移行組ともなるとグラフィック系を揃えるのは面倒だろうが それはWindows上で
GV でも使えばよいことであるし、 DOSでもマイナーな画像形式以外のローダーなら、やはり揃うだろうから大きな問題はないだろう。
ネット上を探すのが面倒ならば Vectorから発刊している「フリーソフトウエア&シェアウエアPack
for WIN」(旧 Pack13000) でも買えばよいだろう(ちょっとかなり宣伝)。
もっとも今取り上げたのは、非常にメジャーなツールやメジャーな分野であるからして「MPSがない」とか「MASLは?」とか細かいことを言い出したら欲求は満たされるはずも無いということは、 購入前に諦めておかねばならない。
mobio と比較されるとしたら現状では 東芝から発売されているリブレット以外には無いだろう。 mobio の場合はSTN液晶搭載という時点で明らかにスペック上では負けている。 モバイルなら液晶は命であり、それの視認性は一番重要視されるのが通常であるからだ。
しかし、液晶こそSTNというTFTに比べれば見なくとも優劣の判断がついてしまうが リブレットには商品の性質上 使い方によっては致命的な欠点があることは確かであり、その点で mobio が優勢であれば問題ないわけだ。
ここでmobioとリブレットのスペック上の差を見ると
リブレット70 | mobio (MB12C) | |
大きさ | 分厚い | 奥行きが長い |
重さ | 約850g | 約790g |
キーピッチ | 14.5mm | リブレットよりちと小さい |
液晶画面 | 6.1インチ TFTカラー | 6インチ STNカラー |
最大メモリー | 32MB (16MB 増設) | 80MB (EDO 64MB SO-DIMM増設) |
メーカー(謎) | 世界のノートの1/5は東芝 | こいつはメジャーだ 日本電気 |
ここまでくると主観や使い方の問題なので一概に言うことはできないが、リブレット70のメモリー量はもはや少なすぎる。 Windows95で一般的に使われる 一太郎8 や Microsoft Word97 を満足に動かすために ノートでも64MBは常識とすら言われる時代に入っているのに その選択肢が無いのは設計の古さからくる物であろうか、それとも電源やスペースの問題であろうか。 まあどっちにせよ大規模アプリの運用には向かないのは確かである。
一方、 mobio はSTN液晶の点では、全く分がない。 しかし今やサブノートパソコンは電車の中で仕事をするための物ではない。 その証拠に平日の山手線の中でモバイルパソコンしている連中は見たことがない(笑) むしろ出先でちょっとデータの修正をしてみたり、新着メールに目を通したり、データを携帯するための器として使うシーンの方が多いのではないか? そう考えるとSTNだろうがTFTだろうが普段の仕事には陰極管ディスプレイ(いわゆるふつうのモニター)を使った方が目には良いはず。 そうすれば一気に mobio の欠点は気にならなくなるのではないか。(私の使い方でもそうである)
私なりの結論としては mobio がもっとも活躍する場所は、デスクトップを主軸においたモバイルPCであると思う。 それならもっと大きなノートパソコンでも良かろうと思う人もいるかもしれないがそれは現実的ではない。 私の過去の経験から たくさんの書籍やノート類とともに パソコンを鞄に入れる場合はA5サイズくらいの小さいノートパソコンが適していると感じている。 電源も 少し大きな筆入れより 大きな場所をふさぐ物は容認しづらい。
本格的にデスクトップで使用でき かつ持ち運びに適した小さなパソコン、その条件で選ぶとしたら mobioは選択肢の筆頭にあがると思う。