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AX6BC TypeRがもたらした物

1/22 初版
1/25 最初の表の122MHzのPCIが31.0になっていたバグを直す、41.3が正しい。


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魅惑のクロックアップ再び

FSBクロック 倍率 PCI AGP
Turbo
AGP
2/3
3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0
66MHz 233 266 300 333 366 400 33.4 66.8 -
68MHz 240 274 308 343 377 411 34.25 68.5 -
75MHz 263 300 338 375 413 450 37.5 75 -
83MHz 292 333 375 417 458 500 41.65 83.3 -
100MHz 350 400 450 500 550 600 33.3 100 66.6
103MHz 361 412 464 515 567 618 34.3 103 69
112MHz 392 448 504 560 616 672 37.3 112 75
124MHz 434 496 558 620 682 744 41.3 124 83
133MHz 466 533 600 666 733 800 33.3 133 89
※AX6BにCeleronをつける場合、「AGP2/3」はCPUのB21ピンを絶縁テープなどでマスクする事により実現可能となります。

  さて上の表は従来のAOpen AX6Bなどの場合の関係図であるがPCIは33MHz以下、AGPは66MHz以下が規定値であり、それを超える周波数はすべて異常なオーバークロックアップであることを認識して欲しい。つまり正規のPCIバスクロックで動作すべき機器を引きずりながらオーバークロックを行うことにはかなりの制限がある環境も存在し、またHDDに至ってはパフォーマンスをかえって引き下げる要因にもなりかねない状態だ。もしできる限り安全にクロックアップを行うとしたら66MHzのFSBを100MHzにする以外はなかったのである。

  しかし「ジャンパーでFSB変更なんてジョークだ」という攻撃的な宣伝文句をひっさげ1998年も暮れに近い秋葉原に突如として登場したボードがあった。AOpenのいわゆる「AX6BC TypeR」である。(PCI29と書くべきところをPC129とか書かれていたのはちょっぴりガッカリだが)

FSBクロック 倍率 PCI AGP
Turbo
AGP
2/3
AGP
1/2
(参考)
3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0
66MHz 233 266 300 333 366 400 33.4 66.8 45 33
68MHz 240 274 308 343 377 411 34.25 68.5 46 34
75MHz 263 300 338 375 413 450 37.5 75 50 38
83MHz 292 333 375 417 458 500 41.65 83.3 56 42
100MHz 350 400 450 500 550 600 33.3 100 66.6 50
103MHz 361 412 464 515 567 618 34.3 103 69 52
112MHz 392 448 504 560 616 672 37.3 112 75 56
117 /39 410 468 526 585 644 702 39.0 117 78 59
117 /29 29.75
124MHz 434 496 558 620 682 744 31.0 124 83 62
129MHz 452 516 581 645 710 774 32.25 129 86 65
133MHz 466 533 600 666 733 800 33.3 133 89 66.6
138MHz 483 552 621 690 759 828 34.5 138 92 69
143MHz 501 572 644 715 787 858 35.75 143 95 72
148MHz 518 592 666 740 814 888 37.0 148 99 74
153MHz 536 612 689 765 842 918 38.25 153 102 77

上の図はAX6BC TypeRの場合の関係を表にしたものであるが、 PCI=33MHz、AGP=66MHz 以上の危険地帯はAGP Turbo・2/3の設定(残念ながら1/2はないらしい)と相まってかなり緩和されているといえる。たとえば5%以内のPCIクロック上昇まではマージン(許容誤差)範囲内と考えられ、またAGPカードには100MHzくらいまで対応する高クロック対応のボード[*1] を使用するとすれば100/103/117(29)/124/129/133/138MHzは安全圏内といえよう。

[*1] AGPは通常は66MHzが規定値であるが、従来よりAGP=100での使用が予想されており、非公式ではあるが100MHzにも対応するように設計されたボードがある。 たとえば私のRiva128(SOYOのバルク?)はAGP=103で通常動作している。このRiva128のボードは(最初から付いている)放熱器の冷却で問題ない。さすがに放熱器に触ると50℃以上になっているので夏は冷却ファンをつけた方がよいかもしれないが、私の場合はケース内の空気を攪拌する目的で設置したファン(CPUとAGPカードに上から風が当たるようにぶら下げてある)で今のところ問題はない。

  私のシステムの場合にはHDDなどが足を引っ張るので今まで現実的ではなかったこれらのFSBが使用できるとなれば、オーバークロックへの展望がさらに伸びることを意味する。残念ながら今使っているCeleron300AがFSB=112(504MHz)では不安定、FSB=117(526MHz)ではBIOSすら立ち上がらないので103MHzとしているために実際には御利益にはあずかっていないわけだが、もしこれが前に所有していたCeleron266ではFSB=117/29(468MHz)が現実の物となっていたかもしれない。もしかしたらFSB=124(496MHz)も夢ではなかったのかもしれない。もう少し早くTypeRが世に出ていれば実際に試せたのに残念である。

残された禁断の機能、Vcore電圧可変は必要か?

  将来的にはAOpenからもABiT BH6のようなBIOS設定によるVcore可変のマザーボードがでてくるかもしれないが、これは絶対に必要な物なのだろうか?答えはNoであると思う。

  ABiT BH6の場合はVcore電圧の設定で(たぶん)3.5Vまでの手動設定が用意されているが、ユーザーが誤った操作をしたために今時の2.0VのCPUから考えると異常な電圧がかかり破壊したとの話は聞く。私もBH6のBIOSをアップデートした直後にCPU Defaultの表示が「3.5V」になり慌てて手動で電圧を2.0にしたものであるが(なることは知識として知っていたがCPU Defaultを正しく認識させるための解決法までは知らなかった)、普段仕事で使用している者ですらそうなのであるから、素人にはもっと危険なBIOS設定であるだろう。

  よくオーバークロックマニアの間では「マスク」という手法で電圧を改変する人がいるが、これは正しい知識さえ整っていれば誰にでもできる話である。逆に言えばFSBの可変と違い、手動でやろうがBIOSでやろうが構わないのである。その点では素人には手を出しづらくしている分、マザーボードとしては良い設計ともいえる。(電圧可変はFSB変更とは違って直接CPUを壊す原因だしね)

  最近、BH6を組み込んだパソコンを販売していて思うのだが、素人に売るときには危険なことは何一ついじれない様にしたマザーボードというのも悪くはないと思う。もちろんFSB可変は今時必須の機能だが、組込用マザーボードの場合はむしろジャンパーで良いとすら思うようになった。その点ではTypeRのBIOS設定に電圧可変機能が搭載されなかったのはむしろ良心といえるのかもしれない。


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