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INSネット64に換える

本稿は平成12年7月現在の東日本電信電話株式会社(NTT東日本)のサービスについて書かれていますので、最新のサービス内容に関しては東・西地域NTTにお問い合わせください。

1999-05-29 1st
1999-09-04 NTTの通常料金(深夜は5分10円→深夜は4分10円)を訂正
2000-07-xx IP常時接続サービス等を追加


INSネット64(ISDN)

  ISDNとは「Integrated Services Digital Network」の略で、デジタル通信の国際標準規格だ。雑音に強く、静止画や動画音声などデータ量の多い情報を効率よく、高品質に送受信できるデジタル通信網はインターネットブームで一躍注目されるようになった。

  ところで、NTTが提供しているISDNサービスの商品名をINSネットと呼ぶ。INSネットには「INSネット64」と「INSネット1500」の2種類があり、「INSネット64」は個人や小規模の事業者を、「INSネット1500」は企業を対象としている。一般に家庭でISDN回線を使う場合は、「INSネット64」なので以下では全てINSネット64に関してのみ述べる。

  ISDN回線を使うための機器としては「TA(Terminal Adapter=ターミナルアダプター)」と「DSU(Digital Service Unit)」という装置が必要になる。素人向けにはアナログ回線でのモデムを「TA」、保安器を「DSU」に置き換えたと考えろというのが一般的らしい。

  DSUは、NTTからレンタルすることも1万円ほどで購入することもできるが、最近ではインターネットの普及とともに多機能になったTAに組み込まれることが多いので、通常ならば「DSU機能内蔵のTA」を購入すれば良い。

INSネット64に換えよう

さて通常のアナログ回線とINSネット64の違いであるが

1)高速でノイズレスな通信が可能である
  通常のアナログ回線も実はNTTの機械に入った時点でデジタル化される。このときに国際的な標準として音声は64kbpsのデータ量になるようにサンプリングされる。(ISDNに乗せるため) この64kbpsのデータがNTTのISDNを流れるわけである。このとき何故モデムは64kbpsの回線を100%有効に使えないかというと、A/D・D/A変換(アナログデジタル変換・デジタルアナログ変換)時に量子化ノイズが発生するからである。V.90方式の場合にはアップストリームがA/D変換とD/A変換を行うので33.6kbps、ダウンストリームはD/A変換のみなので56kbpsが最高値である。さらにはアナログ信号の時に様々なノイズの影響を外部から受けるために情報が劣化し、さらにデータ転送速度は落ちたりする。

  さて話が技術的になってしまったが、INS64の場合には自宅に設置するTAの時点で既にデジタルなので、アナログ通信の時のようなノイズの影響を受けることはまず無いし、劣化を伴う変換も不要だ。よって回線能力の64kbpsがフルに活用できるのである。

●28,800bps/33,600bpsモデムまでの概念
  A/D変換
量子化ノイズ発生
  D/A変換  
  アップリンク 33.6kbps   モデム 電話局 ⇔⇔⇔64k⇔⇔⇔ 電話局 業者  
  ダウンリンク  〃  
  D/A変換   A/D変換
量子化ノイズ発生
 
●56kbpsモデムの概念
  A/D変換
量子化ノイズ発生
     
  アップリンク 33.6kbps   モデム 電話局 ⇔⇔⇔64k⇔⇔⇔ 電話局 業者  
  ダウンリンク 56kbps  
  D/A変換   【伝送路】⇒デジタル
→アナログ
●INS64(ISDN)に直接繋げる
  アップリンク 64kbps   TA 電話局 ⇔⇔⇔64k⇔⇔⇔ 電話局 業者  
  ダウンリンク  〃  
●さらに128kbps(MP接続)
  アップリンク 128kbps   TA
電話局 ⇔⇔⇔64k⇔⇔⇔
⇔⇔⇔64k⇔⇔⇔
電話局
業者  
  ダウンリンク  〃  
2)2回線分の事ができる
INSネット64は、1本の回線でアナログ回線2回線分の働きをする。具体的には64kbpsのBチャンネルを2つ、通信制御などに用いられるDチャンネル1つを合わせてINSネット64は成り立っている。このうちBチャンネルが普段使用している回線に相当するため、通話をしながらデータ通信という使い方が出来る。もちろん2回線合わせてデータ通信しても構わないし、2回線で電話をしても良い。

とINSではデジタル処理ならではの様々な利点を享受できる。ただし、従来のようにアナログモデムを繋げるだけであれば、わざわざISDNにする必要性は少ない。(電話とモデムを併用できる事と、モデム通信時に若干の安定性を得られる可能性があるだけである。)

費用の問題

  電話のサービスに加入するために従来は「加入権」が必要であった。加入権は一度料金を払えば永久に保持できる権利であり、売り買いすらされている。これには主に回線を新規設置するために必要な費用を捻出するための方策だったらしく、近年では電話線を引く必要のない携帯電話では加入権が必要なくなった。

  さて、だからといって従来からの加入権は紙ペラになったわけではない。INSでは携帯電話の流れを受けて「加入権」を必要としない加入方法が用意されているが、加入権を持たない人間は加入権を持っている場合に比べて月々の料金を多く負担しなくてはならない。具体的には9年4ヶ月以上、電話を利用するならば加入権を買った方がお得である。

  加入権を買わない方がよい場合とは、元々加入権を持っていた人が短期の転勤などで、実家と別のところに電話(INSの回線)を引く必要が出てきたときなどだ。

ISDNを引く場合の初期費用

  従来回線を転用 新規に回線を引く場合
INSネット64 INSネット64
ライト
INSネット64
契約料 800円 800円 800円
施設設置負担金
(いわゆる加入権)
------ なし 72,000円
工事費 参考10,000円 参考10,000円 参考10,000円
合計 10,800円 10,800円 82,800円

※工事費は工事内容によってまったく金額が異なるので、電話局に確認するように。
※DSUやTAの購入代金は含みません。
※上記金額に消費税は含まれていない。

月額基本料

回線使用料 INSネット64
ライト
INSネット64
住宅用 3,470円 2,830円
事業用 4,270円 3,630円

※上記金額に消費税は含まれていない。
※上記料金はDSU・屋内配線とも買い取りの場合

NTTの付加サービスを利用する

  工事が終わり、INSの恩恵に触れれば、電話料金は翌月から鰻登り。どうにかならんかということで、まず最初に検討するサービスが以下の料金節約のサービスだ。なおサービスの併用には制約があるので注意だ。

INSテレホーダイ(家庭用)

  毎月定額で市内深夜は使い放題になるサービス。選んだ電話番号への通信が23時〜翌8時までならいくら使っても定額なので深夜にインターネットする人ならば多い日も安心(ぉぃ

  ちなみにMP接続も、もちろんテレホーダイが適用できるので、プロバイダーさえMPに対応していれば128kbps通信を定額で行うことができるのが他の割引サービスにない特徴である。

  市内プラン 隣接プラン
定額通信料 住宅用 2,400円/月 住宅用 4,800円/月
指定電話番号 区域内の2電話番号 区域内および隣接区域(20kmまでの区域)内の2電話番号
割引時間帯 23時〜翌朝8時(深夜・早朝時間帯)

INSタイムプラス

  市内3分10円が5分10円(深夜は4分10円が7分10円)になるサービス。

定額料 350円

INSテレチョイス

  毎月定額料のみで、時間帯・曜日にかかわらず指定した市外局番への通信料が割引されるサービス。ISDN回線を利用して、市外通話をたくさんする人向け。まさに単身赴任向けサービス? でもインターネットをガンガンやる人にはいまいちですが…。

i・アイプラン

  月々定額料を支払うことにより、曜日・時間帯にかかわらず、あらかじめ指定した同一区域内の1電話番号への通信・通話の一定額分が割り引かれるサービス

  i・アイプラン 3000 i・アイプラン 1200
内容 定額料3,000円/月で「7,500円/月」分を使える。超過分は通常料金。 定額料1,200円/月で「3,000円/月」分を使える。超過分は通常料金。
指定電話番号 同一区域内の1電話番号
割引時間帯 全曜日・全時間帯

試験サービス/IP常時接続サービス
(東日本サービス名:FLET'S・ISDN)

  NTTのIP(インターネットプロトコル)網に接続し、各プロバイダーと通信をするサービス。ベストエフォート型のため64kbpsが常に得られる保証はない。

  なお試験中のサービスのため全国で利用できるわけではない。当初は東京の試験地区、そして平成12年5月より月額料金が4500円に引き下げられ03局内全域に、さらには7月より順次サービスエリアを広げている。またMP接続(128kbps)が利用できないため、深夜のみ使用するのならばテレホーダイ、昼間も長く使うならばIP常時といった使い分けが望ましいだろう。 また事業用テレホーダイよりも100円安いので事業用回線で64kbpsでも良いというのならばIP以外に考えられない(笑)

  IP常時接続サービス
基本工事料
交換機等工事費
1000+1000=2000円
月額料金 4500円 (平成12年5月より)
指定電話番号 NTTから指定される電話番号に電話する
割引時間帯 全曜日・全時間帯

  ちなみに私の家の場合には昼も使うので、平成12年6月まではINSテレホーダイとINSタイムプラスの併用をしていた。(6月よりIP常時接続サービスにしている。) 下に損益分岐点に関する計算結果を乗せておくので参考にするとよいだろう。タイムプラスは市内にプロバイダーがある場合、エリアプラスは隣接・20km区域以内にプロバイダーがある場合である。

23〜8時
料金比較
(2000年7月現在)
テレホーダイ料金 損益分岐点(時:分) 理論値
市内 市内&
隣接・20km
対通常料金 タイムプラス
(市内)
エリアプラス
(隣接・20km)
昼通常 v.s.
IP常時(市内)
市内 隣・20
アナログ回線 1,800円/月 3,600円/月 12:00 12:00 +200円/月
18:40
+200円/月
22:40
INS住宅用 2,400円/月 4,800円/月 16:00 16:00 +350円/月
23:55
+350円/月
29:40
昼10:30以下
ならテレホ
INS事務用 4,600円/月 9,200円/月 30:40 30:40 +350円/月
49:35
+350円/月
59:00
IP優勢

相談窓口を利用しよう

  上に書いたことは概要であるので個々の場合によっては値段などに変化が生じてくるが、昔と違ってNTTの職員も熟知していることが多い(インターネットが今ほど知られていなかった数年前は、ISDNという言葉すら知らない窓口あったほどだが…)ので素直に相談してみた方が早いだろう(爆笑)


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