カッコ [ ] 内の日付は私が読んだ日付です.(発行日にあらず!)
2000年は有珠火山に三宅島火山と噴火が続いたりしたため(他にも公私共に大きな出来事が多すぎた...),あまり本を読んでいる時間が取れませんでした.
白星(☆)の数は独断と偏見によるお勧め度(目安:☆☆☆以上はお勧め). 逆に黒星(★)はお勧めしないことを意味.(某雑誌の映画評に準拠しております.)言いたい放題に個人的感想を書いております. 気分を害された方(例えば著者の方:-))がいらっしゃればお詫びいたします.(_o_)
なお,2000年2月以前についてはこちらをご覧下さい.
セーガン氏のメッセージは多岐に渡っている.
例えば,エセ科学に騙される人が世に溢れている現状に対しては,メディアの責任が大であるということがまず指摘されている.
視聴率(あるいは雑誌の売り上げ)やスポンサーの利益のためにいい加減な話(エセ科学)を垂れ流すことは,世の中に対して極めて大きな悪影響を及ぼす.逆に,“科学的な思考法”(後述)を育むような番組(あるいは博物館・展覧会等)が増えれば,騙される人が減ると共に好奇心・批判精神・想像力を持った人が増えていくであろう.
「科学的な思考法」を持つことの重要性についてもセーガン氏は繰り返し説いている. 本当の科学の考え方は,観測事実に対して「謙虚」であり,その理論体系には「誤り訂正」機能が付いている.従来の理論に反する観測事実が出てくれば理論は修正される.ニュートン力学に対する一般相対性理論の登場はその一例である.(これに対し,例えば宗教はえてして“信じる”ことのみを強要し,疑うことは許されず,誤りは訂正されず,教義に反するような観測事実には目をつぶりがちである.→その一例が「創造論者」=旧約聖書の記述を絶対のものとして進化論を認めようとしない)
錯覚・幻覚・夢・セラピストによって後から刻み込まれた“記憶”といったものが“宇宙人によって誘拐された話”に化けること,プラシボ(偽薬効果)が心霊治療の成功例に化けること, といったトンデモ話出現秘話:-)はもとより,一見実用的な応用とは無関係のように見える「基礎研究」が未来にとって非常に重要であること,社会や政治や経済のシステムを改良するためにも科学の方法は使うことができること,等々,紹介したいことは山ほどあるが,何しろ元が約800ページもある本なのでその全部を紹介することはとてもできない.
本書を上・下2冊とも全部読むのは大変かもしれないが,せめて「“トンデモ話”を見破る技術」の中の“トンデモ話検出キット”の部分(上巻p.384〜406付近)だけでも多くの人に目を通していただきたい.これらは全て“科学的な考え方”の基本でもあるが, このような考え方ができるようになれば,魔女裁判,占星術,交霊術,ミステリーサークル,その他のトンデモ話に惑わされることは無くなるであろう.
関連する本:
→「人はなぜ騙されるのか」安斎育郎・著(朝日新聞社)
→「トンデモ本の世界」と学会・著(洋泉社)
→「科学の目 科学のこころ」長谷川眞理子著(岩波新書)
山下輝夫編著(岩波ジュニア新書)[2001/1/19]
東京大学地震研究所の設立75周年記念事業の一環として出版されたもので,
“ジュニア新書”とはなっているが,大人が読んでも十分の内容になっている.
最新の地震・火山研究結果が分かりやすく解説されており,読みやすくおもしろい本になっているので,ぜひ御一読を!
→ 詳細情報(東大地震研のページ)
→ http://www.yatsugatake-eorc.org/ (天文台概要と地震前兆検知)
→ http://epio.jpinfo.ne.jp/ (公開実験の応援班のホームページ)
(※)より正確には次の通りである:
(“正常”や“完全”の定義は本書をご覧下さい.)