凍って砕けた波頭が
  最後に見ていた月の残像
 海を渡る慟哭の魂が
  身の内に抱え拾い集める
 
 絶望と静寂と
 無慈悲と無関心
 
 しかし
 だからこそ此の世ならぬ美しさに煌めく姿は
 滅びた者をも照らす唯一の光

 果てるとも尽きぬ嘆きの魂は
  四方から中空に寄り来たりて
 彼らの幻影を再生する
  散りゆく意識の飛沫に
  清冽なる輝きを映すために


 そして今、
 月が昇る。

               yasuko.1998.8.20

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