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短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON

11月17日〜12月9日 1997年



朝風のベランダ高く一列に 並ぶ家族の抜け殻揺れる 



11月16日 日本代表 ワールドカップ出場決める


■雨だれ

宮●代表が 代表になった その夜半 初冬の風に 雨だれ楽し

ひ●晩秋の寒き夜に窓開け放つことさら静かに雨だれの音

山●雨だれのひとつひとつの声を聞く 誰もが同じ時の上にて

西●万雷も嬉し涙か秋津島雨だれ覆う渇く日々の後



■朝風

宮●日干したる 我頬撫でる 朝風に 秋好く君の 指先を知る

ひ●晩秋の冷えし朝風襟立てる街の日向に猫ふくらんで

西●朝風に乗りて彼方より流れ着くクラムボンの影さわさわのけふ

山●朝風のベランダ高く一列に並ぶ家族の抜け殻揺れる



■鍋

ひ●月映し寒夜ますぐに立つ湯気よ風流きわめ枯野で鍋す

宮●皿溢る 食材たちまち 鍋と消ゆ ベルト外して おじやに賭ける

西●素材二つ選び小さな鍋に入る池波式の夜は我とあり

山●鍋、食器集めて今日は石狩の味で1年、皆で噛みしめ



■売り切れ

宮●売り始め 5分後には 売り切れと 告げる電話に 日本脱出

西●「ほう母を、お探しであるか。残念だ。昭和の頃に確か売り切れた」

ひ●広告に「チャンスあります」駆け込んで店主に問えば売り切れだよと

山●売り切れかダフ屋にっこり手をだして 聖徳太子のレニークラビッツ



宮殿 ご出張

■年の瀬

ひ●年の瀬に吸う一服の煙たつ命短しされど吸いたし

西●年の瀬と年波の寄す年男初冬の雨に煙りて歩く

山●年の瀬に揉まれるままに遊ばれて あらぬ岸にて打ち上げられる



■冬

ひ●街の灯を冷たくさます冬の風舞いちる雪に頬をあずけて

西●痩せおれど慈愛亨くるなどとは無縁孤高で天を掴み冬の蠅

山●突然の冬将軍に頬剥けて 風に悪態つくも空しき



■年賀状

ひ●どうしよう昔の写真出さずじまいの去年の賀状捨てても良いけど

西●幾とせの挨拶凝っと見ゆ老父その前で賀状いよいよ白し

山●よき友よ賀状の挨拶「賀正」だけ 文字は毎年大きくなるのか?



■宴

宮●冬逃れ 遊牧民の 娘たち 異人を狙う 北京の宴

ひ●ふらふらと運ぶ足先定まらず終りし宴と別れがたくも

西●朝ぼらけ迎える宴に終わりなく女も酒も地球も回れ

山●知らぬ間に背中を押すは師走風 宴、宴を泳いで渡る






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