短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
11月1日〜11月16日 1997年
晴れ男 禿げてはただの 笑い者 雨降る度に 居所問われ
■満足
宮●勝ってなお 満足知らぬ その笑顔 遠き行方に 戦士よ走れ
西●霧何処未来の記憶持つ光現れる日に満足深し
ひ●道端に置きたる魚に舌鼓ああ満足と猫の金的
山●満足を知らぬが深き煩悩に終止符を見る日を待ちつつ
■雨乞い
ひ●秋渇き雨乞いせよと頼めども我寒しとて蛙はそっぽ
宮●天の川 流れる空に 火の粉舞い 乙女雨乞う この世は嬉し
西●喉を灼く渇きに起きにししののめに雨乞ひすなるからだの憎悪
山●夕焼けの天に頼むは昔人 険しき道ゆく雨乞いの山
■清算
ひ●清算か?する気はないがさせられる言わずとしれた罰当たりな頃
西●経るごとに狭くなりぬる道幅や清算の時期逸して今日も
宮●貸し借りに けじめをつける 取引きに 飛び交う公私 清算の潮
山●清算の意味も言葉も知らぬまま いっそ棺桶 横抱きダッシュ
■歓声
ひ●歓声に耳奪われて気もそぞろ秋の紅散りゆく落葉
西●来るべく歓声膨張競技場熱き顔(かんばせ)焼き尽くす過去
宮●歓声が 降る空仰ぐ 日本晴れ 解き放つ今 姿焼き付け
山●幾百の口ほとばしる歓声は 狂気の果ての驚喜の果てか
■カレンダー
ひ●カレンダー連休数えめくりつつまだ来ぬ日々に想い巡らす
宮●外国で 日本美人の カレンダー その微笑みに 並ぶもの無し
山●カレ塔_ー「まる印はなに?」とは言えず 迷いふくらむ初めての部屋
西●背筋から登り来れる寒さあり振りさけ見ればカレンダー、真夏
■晴れ男
宮●晴れ男 禿げてはただの 笑い者 雨降る度に 居所問われ
西●朝一番軒先に立ちしるし受く豪快歯磨き晴れ男今日も
ひ●秋さかり雲一つなき空なれどできもの苦し腫れ男なり
山●偉大なる笑ってばかりの晴れ男 太陽抱いて引きずりまわす
■紅
ひ●紅に秋の日沈み道照らす紅葉後ろに前銀杏
西●紅に染まる街路の彩りを思ひて歩む深夜の帰宅
宮●紅(くれない)に融ける地平 青き月 過ぐるしじまを しばしとどめつ
山●闇の中カラダを走る紅(くれない)が 我の理性を染め抜く一瞬
■碧
宮●碧瀾に 身躍らせる 夢何処 空から見ても マラッカ海峡
西●昨までの碧けふはなく染むる前に消え入るを恨めしき心
ひ●碧を読む濁りが語る旅ゆきは舞う白雪か黄砂の風か
山●ゆっくりと泡立ちのぼる深海で我は静かに碧に染まれる
■紫
ひ●永(なが)き尾をひきゆく鳥が鳴く声と空描く紫道に降り積む
宮●黒く照る 紫檀の螺旋 女体の美 孕む命を 閉じ込めながら
西●紫の煙立ち上る水上を目指した者がいた、あの頃
山●紫のけむりを吐いて弾き狂う 今もジミヘン宇宙を旅す
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