短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
5月15日〜31日 1998年
<木漏れ日>
宮●手の平に 木洩れ日掬う 春の道 ほころぶいのち 遠く眺めつ
ひ●早朝の初夏の木洩日涼やかに昨夜の夢の名残を流す
西●初夏欅の木漏れ日の中行く蝶よ恋の季節の空いよいよ軽し
山●木漏れ日に揺れる頬の眩しさよ 何も言わずに何もしないで
黒●色つきの 木洩日 睫毛(まつげ) 撫でていく 暗がり漂う ダンスダンスダンス
泥●こもれびを 殺人光線と おしはかり フェイントで走る 富士の樹海
<傷>
西●顎の傷疼く梅雨の朝雲は低く痛み知らざりし心をなぞる
宮●古傷が 疼く気圧の 谷通る 記憶の滓を 照らす逆光
ひ●いくつもの小さき傷負うこの柱わが兄弟の遠き日を見せ
山●友達にしたくはないと思いつつ 傷と一晩 夜話をする
<ゴミ袋>
ひ●部屋を見る散らかり荒れる荒野にて息をひそめてゴミ袋ある
宮●ゴミ袋 振り振り叫ぶ National Game 青けりゃそれは 応援グッズ
山●ゴミ袋 やけにかさばるカップメン 生活変える気にもなり
西●朝の日に白々と山なすゴミ袋この中に死体あったりするのか
<冷麦>
西●休日は冷麦を挟みゆるり過ぐ愛の食卓サラサラ午後が
山●声もなく夏の午後には冷麦のツルツルツルのツルツルツル
宮●冷麦の 氷を鳴らす 昼下がり 遠雷に尋く 虹のまほろば
ひ●夏来る汗と日焼けと冷麦と昼寝の後の冷たいビール
黒●口窄め(すぼめ) 冷や麦すする 君見つめ 見つめてしまう 僕を戒め
黒●口窄め(すぼめ) 冷や麦すする 君の顔 モザイク入れる 僕を戒め
<扇子>
ひ●芸者呼び扇子を投げて遊ぶ絵に心引かれる初夏の夕暮れ
宮●団扇もて 汗かくわれを 見やる祖母 気を揺らし笑む 扇ぐでもなく
西●骨団扇夜風が過ぎる暮八の貧乏もまたおつなものなり
<洞窟>
ひ●晴れぬ日に洞窟を這う人々へ便りしたため一日潰す
宮●感手繰る 洞窟流る 闇の風 夢司る 女神に会うべく
西●洞窟の一滴の光すら落ちぬ漆黒の中朝寝をしたし
泥●朝陽前 ランタンに揺れる 波の影 石段の先の 洞窟くぐり
<朝練>
宮●朝練の 空に掲げて 深呼吸 買ったばかりの グラブは堅し
泥●帰宅部は 登校早い 女の子狙い 2人ぼっちの 秘密の朝連
西●並木道うさぎとびした朝練の去りし日哀し並木は哀し
ひ●目を洗う陽光眩し朝練の爽やかなれど床恋しくて
黒●朝練に 体内時計 ロケンロール 9時寝で 5時起き 部活を呪い
<腕白>
泥●日曜日 腕白少女の 鉄棒の 二の腕白く プニプニさわり
宮●わんぱくに なるのかやはり 3ヵ月 小指を掴む われに似た顔
ひ●ひょろひょろと淡白亭主漕ぐ後ろ腕白妻がどつくはどつく
黒●座席立ち 吊革伝う 腕白を 「おばさん」と言われ 網棚に詰める
西●腕白を膝小僧に潜ませてときおり揺らす初夜の食卓
山●腕白ね 30過ぎて 淡泊ね 洒落にもならず 白い腕見る
<チョコレート>
ひ●チョコレートチョコレートふう...チョコレートこれで15と頑張る向井
西●苦甘いチョコレート一かけ口に入れ革命起こす?革命いずこ
山●「ごちそうさまお腹いっぱいありがとう」 チョコレートパフェ 追加で頼み
宮●チョコレート 口に含みて トロトロリ 苦き余韻を 交わす接吻
泥●バレンタイン チョコレートを くれたから 体をせまるも 義理義理タッチ
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