短歌会 フランシーヌの会
HAPPY TANKA BALLOON
8月20日〜9月20日 1998年
<休日>
黒●昼下がり ビールがなぜか うまく飲め 歩道橋の上 休日の幸
ひ●休日に一人思う青き空、海の広さと山の高きを
宮●蝉忙し 鳥居の前の 駄菓子屋で 童(わらし)に帰り アイスな休日
山●両手から落ちて拾えぬ休日の写真一葉眺める休日
西●朝まだき帰路のゆくえは見えずとも始まりぬるや休日の朝
<銭湯>
宮●西日射す 人もまばらな 銭湯の 赤富士挟む デートは楽し
泥■銭湯で 「先に出るぞ」 と 女湯に 向かって叫ぶ 相手ないのに
西●倶利伽藍を拒否する張り紙なきところ老人達の緩む銭湯
ひ▲銭湯の湯船に沈む翁あり吹く泡絶えて笑み満面に
山●煙突と豆腐の笛を合図とし つどう老人夕暮銭湯
<台風>
黒●台風で 新居を流され ベンツもか 西川峰子 涙の会見
宮●南から 台風、ゴ、ゴ、ゴ 水運ぶ 東の果ての 秋津島
山●「どっか行って!」聞く耳もたぬ台風のじっと見つめる日本列島
西●脳内に「上々颱風」鳴り響く夏の終わりの静寂かな
ひ●雨戸聴く ただじっと聞く 風の宴 雨打つ太鼓 台風鬼か
<絵はがき>
宮●絵はがきの 短き文の 筆づかい 伝えよ君を 吐息とともに
山●絵はがきの文字は揺れてる旅の友 心と同じ揺れ具合かも
西●絵はがきは心情伝うによかれども巷で流行りの絵手紙はなあ
ひ●絵はがきの消印いずこ夕焼けに柿色づけば全て忘るる
泥●わからない お前がくれた あのハガキ 絵ハガキなのか 字が下手なのか
<釣り>
西●するめ切れ淀む小川に浮かべてはザリガニを待つ日曜もよし
宮●針もなく 釣り糸垂れて 夢うつつ とんぼを肩に 秋を枕に
西●真夜中にビルヂングの窓開け放ち釣り糸を垂る太公望おり
山●腕伝う震えをサカナと分かち合う 帽子をとった釣りの夕暮れ
泥●上司から 使い頼まれ 買い出しに 金ちょうどでも 「釣りはいらない」
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