フォークも消耗品?
ガズンっとかけたブレーキングでは大丈夫でも、波状路や、なんてことないギャップで跳ねたときなど、コトコト音が発生する。車両入手半年後よりこれまで長年使用してきたZ1000R2のフロントフォークを取り外し、単体でストロークさせてみた。すると、コキッという感覚と、左右とも動きの渋さが確認できたため、内部を調べてみた。作業はインターバルにて行われたものである。
やはりフォーク単体で押してみると明らかに左右で動きが異なり、手に伝わる僅かな感触もある。トップキャップを外してオイルを抜いてみるとシルコリンG15の半透明な色は跡形もなく、すでに黒や灰色になっている(走行たった約1000キロ超で) 。次にフォークを全バラにしてみる。アウター(ボトムケース)内側は鏡面に近く、注意深く覗くと写りこみにはムラがある。
「アウターの中が樽みたいになっているんだ 」といわれ、底のボルト穴からライトの光を差し込み、再び覗くとさらにはっきりとしてくるではないか。続いて、スプリングなしでインナーチューブとアウターを仮組みして、全伸び、中間、フルストロークと数段階の位置にてインナー、アウターのガタをチェックしてみると確かに中間域でのガタが全伸び、全縮に比べかなり大きく、クリアランス調整したスライドメタルが入っていてもその役目を果していないことがうなずける。「いったん、摩耗が始まるとその進み具合は速い」らしく、交換後の走行距離の割に汚れていたフォークオイルも納得。通常フォークのガタをチェックする場合、車両に装着された状態でフロントを浮かせアウターをつかみ探ることが多いが、このように樽状になっているのでは簡単には症状が判りにくいのだろう。
写真メタルには左右共コーティングがはがれたタテスジがはっきりと残る。
写真上の写真のほぼ180度反対の面だ。上と比べれば少々判り難いが、同位置にスジがある。同方向の摩耗からもストロークの際、前後に振れていたものと考えられる。
写真メタル裏に巻かれていたシムテープ。これにまではっきりとスジが出来ていた。アウター内面とは直接接触していないが、かなりのショックや、面圧がメタルを通して伝わっていたということなのか?テープの全体のザラつきはスラッジが原因だ。
Z1000J、Rの新品アウターが入手不可能な今日では完全な修理は不可能に近い。GPZ750のアンチダイブ付フォークは癖があるからいまさら使いたくないし。残すところ、アドバンテージKYBかZ1000Pの部品を流用するしか手はなさそうだ。中身を点検できないのであれば中古部品も信用できない。僕はZ1100Rのフォークまで心配になってきたので、今度オイル交換の際には何かしらのドーピングを行おうと思う。現在、考えられる対策としては
1:まめなオイル交換 2:ガタがある場合はスライドメタルのクリアランス調整 3:オイルに添加剤を混ぜコーティング・保護を試みる
1と3は困難な作業ではなさそうだ。特に3については「フリクション低下には非常に有効」と実行しているショップもあるのでぜひとも試してみたい。Z1100Rにはすでに2の対策を施してあるが、次回のオイル交換では3を加えるつもり。
ちょっとした事故ならインナーチューブが曲がってもアウターまで交換しないの普通だ。最初は小さなダメージでも徐々に大きくなる事だって考えられるし、何も起こらなくても販売から20年近く使われている部品だ。僕のGPZといえば、ニュートラルのセンサーまで摩耗によって減ってしまい、駐車時左に傾いていないとランプがつかない(笑)。こんなとこまで消耗している車両だ。フォークが摩耗しない、へたらないと考えるほうが無理があるのではないだろうか?
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