掲載内容はこれまでの経験や、専門ショップでのアドバイスを元にしていますが、各ショップによって意見の相違もあるでしょうから完全なものとはいえません。これが原因でトラブルが発生しても当方ではいっさい責任を持ちません。僕の場合に限っていえば、これらを整備・点検していることでコンディションが保たれているうえに、トラブルも大きくなる前に対処できているというのが事実です。
ここでは各部ベアリング交換や単純な部品交換などの超基本的なことは省いてあります。こんなことまでやることはないかもしれませんが、手間はかかれどあまり金はかからないはずです。
■エンジンマウント
1000J系から前側2個所をラバーマウントとし、後ろはリジッドとされる。このため極端にいえばエンジンのズレが生じてしまう。状況は目視である程度チェックできるので実行してみよう。
(1)ケースを貫通するリアのシャフトを真横から見て曲がっていないかどうか
(2)曲がりがひどい場合フレーム左ピボット部のプレートまで歪んでしまっている場合がある
(3)ズレの程度確認は少々面倒だが、左ステッププレートを取り除きスプロケットカバーを外してみる
(4)このときカバー右側がピボットプレートに接触しすんなり前に引き抜けない場合かなりズレてしまっている可能性がある
(5)かなりズレたままならばプレートとケース間の(シャフトが通る)カラーがその役目を果たさずクランクケースに負担を与えてしまいケースにクラックが入ることも考えられる
以上のようなトラブルまで発展しかねないので定期的にチェックしよう。※最近供給されるこのカラーは、以前のものより造りがよくなったので最悪でも与えるダメージは少なくなったかもしれない
防止策としては目視によるシャフトのチェックを行い、定期的なマウントブッシュ(ラバー) の交換しかないだろう。硬化したラバーは振動の増加にもつながりそのままならケースにもダメージを与え兼ねない。ブッシュ交換はマフラーの脱着、エンジン上IGコイルを取り外す等して、ケース下をジャッキアップしてエンジン搭載位置を変化させる方法が手っとり早いが、これもなにかと面倒なので友人に一杯おごるつもりで手伝ってもらえばなんてことはないので、損傷が大きくなって取り返しが付かなくなる前にやってしまおう。
バイカーズステーション誌97年10月号の誌面でもインターバル今井氏が書いているように(センターオブパーカッションの項)、決してアルミのカラーを用いた“リジッド”にするべきではないと思う。ずいぶん前だが某誌連載企画記事の中でZ1000Rのエンジンマウントをリジッド化するというものがあった。ひょんなことからその車両をチョイ乗りではあったが試乗したことがある。そのハンドルに伝わる振動はSTDに比べるとかなりのものがあり、振動対策でハンドルバーの中にゴムのバー状の物を挿入したが大して効果は感じられなかった。仮に効果があったとしても体感するものが減少しただけでエンジンの振動そのものが減った理由ではないのだ。
例外だが1000J系をベースにしたといえるゴディエ・ジュヌー1135Rは写真、現車を見ても明らかだが、マウント前側にアルミカラーを使ったリジッドになっている。これについては残念ながら僕は実車に乗ったことがないためなんともいえない。1135Rオーナーの方、もしくは試乗したことの有る方のご意見、レポートをお待ちしております。
強化・対策としては、車の足まわり強化の際ショックのブッシュ替わりに使われるというプラスチック系材料(エンジニアリングプラスチック?)を削り出してラバーの代用品にするのはどうかという案も某ショップから寄せられたこともあるがいまだ試してはいない。また手間ヒマ、金がかかる手法としてKZ1000S1のようにリアのマウントに1本補強を施すというのもある。エンジン搭載のままでもできないことはないようだが、仮にOH等でエンジンを降ろす機会があったら検討してはどうだろうか。※僕の場合車両購入後しばらくしてシャフトの曲がりを指摘され一度は交換、それ以降は安心していた。しかし自ら行ったエンジンOHでケースを開けた時点では見逃してしまっていたのだろう、インターバルで行った二度目のOHでケースへのダメージが発覚。ケース補修にあわせて再発防止、強化にマウント部への補強を入れてもらい、現在は異常なく走っている
※インターバルではリア特注シャフトを製作、希望者には販売しますとのことなので興味のある方は連絡してみてください
■フロントフォーク
エンジンオイルは誰でも定期的に交換しているが、走行距離の割にフォークオイルは意外と見過ごされている場合が多い。最近、バイク雑誌でもなぜか頻繁に取り上げられているので気にする人が多くなってきたが、僕の周りではいまだおろそかにされる車が少なくない。僕は以前、事故でフロント周りを交換したのをきっかけに、折角新品にしたからとフォークオイルにはそれなりに気をつけてきたつもりだ。気分的にはエンジンオイルと同時に行いたいところだが、現実的にはエンジンオイル2〜3回に対して1回と決めておけばいいのではないか。エンジンオイルを2000キロで換える場合は3回に1回、3000の人は2回に1回ってところだろう。
※交換にはあらかじめジャッキ、スタンドなどを用意し、フォーク下のドレンからチュパチュパ抜くなんてケチなことはせず、フォークを取り外してしっかり作業をしよう。さかさまにしてもなかなか抜けきれないものが、いくらフォークをストロークさせたって完璧に出てくるわけがない。細かなセッティングのためにわざわざブレンドした番手のオイルを入れるのに、ドレン下からの交換で済ませ、「やっぱり#13より#12.5のほーがいいね」とか「油面は○mmでばっちり」などと平気で言うヤツがいるがまったく真実味がない(笑)
そんなに走っていないのにセッティング変更等でオイルを替えるときに、見ると片方はきれいなのにもう片方は汚れているようなフォークはないだろうか?理由は左右どちらかパーツ組み付けにセンターが出ていないため、摺動抵抗の差がオイルの汚れに出てくるといわれる。これらについてはプロに任せるしかなさそうだが、常にオイル交換をしていないと気付かないから定期的に行うものとしよう。
次にスプリング。現在入っているバネは何年モノでしょう(笑) 。Z1100Rのスプリング長は545mm(1000R2と同じ)。簡単に数年でへたって使えなくなるものではないが、オイル交換時にでもぜひ測ってみよう。車両購入から一度も換えたことがない、なんて人はぜひとも調べて見てください。
僕は自分の車両には他車の太いフォークは似合わないと思っている。柔な乗り方しか出来ていないのかもしれないが、雑誌に書かれているような「剛性不足」など一度も感じたことがないので今後も換えるつもりはない。最近ではZ1000J/R系のフォーク部品についてかなり欠品が出ているため、大きな事故では再生不可能になる可能性が非常に大きい。部品供給のしわ寄せがZ1100Rにも出ないことを望むが現状では厳しそうだ。財政が許せば早めに部品をストックしたほうがいいのかもしれない。※平成11年6月左右ボトムケース欠品を確認。 最近では1000R1/2 1100Rフォークスプリング欠品も確認(T_T) フォーク回りはほぼ全滅だ。。
エリミネータ750/900のボトムケースがあまりにも1100Rと酷似しているので、現車を見る機会があったので調べてみた。外観やキャリパー/アクスル部の寸法はざっと計測すると同じ。「色違いの共通部品か?」と小躍りしたが、コーションシールを見るとそこにはSHOWAのロゴが。。。念のためZL750のパーツリストをみると、残念ながらシール、メタル類はKYB製フォークとは異なる。内部の寸法は不明なので、それ以上はわからなかったが何か打つ手はないものだろうか? 追加調査はもちろん行なう予定ですが、なにか情報がありましたらお待ちいたします。
※1000J/R系フォークOHやファインチューンなどで興味、質問の有る方はインターバルまで。またフォークの消耗についてのレポートはこちら
■リアショック
どんなに外観や、保管状態の良い車両でも装着されている当時のSTDのリアショックはもう終わっているはず。タイヤや他の部分をきちんと整備して「良くなった」と思っていても、その一段上に別世界があるといっても言い過ぎではないでしょう。以前、ゼファー1100の新品リアショックを譲り受けそれに交換した時は驚いた。まず、これまでの乗り心地がカローラだとすれば、マーク2ぐらいになったといえばいいのか(笑) 。
ゼファーのSTDショックは1100R同様、プリロードや伸・圧のダンピング調整が可能だ。装着後のツーリングの際、折角の調整機能だからと知床横断道路であれこれ試してみた。何度も走り込んだ結果、一番自然で、恐くないかな、と思える位置が決まった。その帰り道、直線で開けてみるとそれまで200前後で振られ気味だったのが収まっているではないか。これはそれなりにセッティングが出た結果だと思っている。購入時、付いていたショックではダンパー、プリロードをいじっても変わらなかったことからもほぼ終わっていたのだろう。
ゼファーショックはのちにZ1オーナーへ渡ったが、ある程度使い込まれたものでさえZ1のヴィンテージショック(笑)と比べてハンドリングや乗り心地については、僕が受けたものと似た感想が本人より届いた。腐っても新しいものの方がよかったに違いない(笑)。モノショック車では、ダンパーだけ購入、交換出来たりする車種もあるけど、ツインショックではそうもいかない。某チューナーは「○ンダなんかのショックはSTDでもなかなかいいよ。でも、美味しいのは最初だけでど−んと性能が落ちていくのがわかる。ある程度までいけばそこからはなめらかな下降なんだけどね」と語る。この話しもいえることだが、OHが簡単に出来ないSTDのショックはやはり消耗品と考えるべきだ。STDの外観にこだわる気持ちもわからなくもないが、高額な新品純正パーツや中古のきれいなモノを買うよりはOH可能な商品に換えてしまうほうが結果的に安く、永く健全に楽しめるのではないだろうか?
※最近、雑誌などで純正ショックOHを受け付けるショップを見かけるようになってきた。喜ばしい話でもある。
■イグニッションコイル
旧車で、特に購入から一度もコイルを換えたことがない車両でロングツーリングなんて怖くて行けない。電装のトラブルはいきなりやって来ることが多いので、不安要素は出来るだけ少なくしておきたい。どこかがリークしている古いハーネスなんてのはもってのほかだが、徐々に悪くなってきて、出先でパンクなんてことになったらあとの祭。出先から2気筒でどうにか帰還なんて話もあった。新品ならその恐れも格段に低くなるわけだからこれは消耗品と考えてしまおう。以前10年物の車両の調子が著しく悪くなり、いろいろやっても効果がなく最後にコイルを交換したら復活した友人の例もある。
交換は社外品ではなくても純正部品で充分。価格も決して高くない(#21121-1038 &1039 @6740円 98/5現在) 。現在、今井氏の推奨通り1万キロで交換しているが、氏がいうような新品にした時の違いは僕には体感できなかったけど。。。
■メインハーネス
古くて硬化してしまったハーネスは、新品でも引っ張られたりネジれたりと負担がかかっているだけに電気系トラブル発生の原因となってしまう。エンジンOHなど心機一転を計った際には一気に交換してしまったほうがなにより気持ちが良い。僕個人では配線一本一本大丈夫かどうかなんて探れないから、近々新品を組むつもり。K/Z1100R用は「まだあるだろう」とタカをくくっていたが、いざオーダーを入れてみたら「10日ほど前に最後の1セットを出荷した」とのことで販売終了で入手不可能。現在手に入るのはZ1000R2ヨーロッ仕様用しかないので代替で購入。これを改良・流用して使用するしかなさそうだ。
これとていつまでも買えるわけではないから、心配症の方は早めにゲットしたほうがいいかもしれない。
■その他電装回り
電気的知識に乏しいのではっきりとわからないが、ハーネス等を新しくしたら出来るだけ電気回りはそれに合わせて新しいほうがいいらしい。一個所改善されれば良くないところへ負担がかかるということらしいが。単純に考えても新品は出所やどのくらい使われたか判らない中古よりはイッちゃう可能性が無いに等しい。細かいトラブルを抱えて頻繁にお金を使っているよりは結果として安く済んでしまうことが多い。特に目に見えない電気は簡単に直せないだけに、僕の場合は金銭的に許すなら部品交換=対策と考えている(チョット土人Q)。
■インシュレ−タ
常に振動、熱、オゾン等の影響を受け、劣化は避けられない部分であるからマメに点検したい。キャブ本体の重量をご存じならこれを支えるゴム製品の負担の大きさもわかるというものだ。経年変化や過大な締めつけによる変形で、シリンダーヘッドとの間に段付きが出来てしまうこともあるので注意。
※これまでもインシュレータ内径が1ミリ以上も小さくなって、ポートとの間にはっきり段の付いたものもあった
外観上、大丈夫でも合わせ面にヒビ割れを起こしエアリークしていることも多いので、要チェック。こんな状態ではセッティング以前の問題だ。
交換作業では、STDキャブの場合エアクリーナーボックスもからんでくるから少々メンドウ。特にボックスと結ぶダクトはかなり硬化しているはずで、これを再使用しようとするのは無理があるからケチらずこれも新品に。こちらからのエアリークも充分ある。ボク自身、散々手こずって無駄な時間を喰いましたから(笑)。
インターバル今井氏は「1年毎」に交換し、またできる限り推奨するが、せめて車検の度にでも交換したほうがマイナートラブル防止になるのではないだろうか。キャブレターとエンジンの橋渡しの役目をする部分だから軽視せず、ましてやそれほど高価なパーツでもないのだから定期交換部品と考えたい。なお、部品価格は1000J系よりZX1100A用のほうが高い(#16065-1131 @1520円)。
■キャブレタ編
一度レーシングキャブレターのフィーリングを覚えてしまうとSTDには戻したくないものだが、完調なエンジンとの組合せなら負圧キャブでもなかなか捨てがたいものがある。強制開閉式のキャブに比べれば、ロングツーリングでは曖昧なアクセルワークでもそこそこ走れるから疲労度に影響するし、雨天時においてはその尖ってないレスポンスゆえに助けられることも多い。
最近、zkaneto@のZ1Rは、使い馴れたTMR(その前はVM33)からZ1000J用のBS34に換装した。呆れるくらい開ける男だが、BSでも「まったく不満、不足はない」とのこと。とはいえ、最近またTMRに戻したらしい(笑) 。
STDキャブを装着する多くは、購入からこれまでよほどのトラブルにでも見舞われていない限り乗りっぱなしではないだろうか(せいぜい掃除だろう)。発売から10数年経っている車両である。車体各部の摺動部、ラバー系パーツが硬化、劣化しているなかでキャブだって同じはずだ。しかもCVキャブの場合、ダイヤフラムがその役目をはたさないとレスポンスの悪さに即つながる。ダイヤフラムが硬くなっている、また破けているものは交換するしかない。
※ダイヤフラムは一個8000円以上するので4連すべて交換となるとかなりの出費になる。かといって、中古の○○キャブを購入しても、程度によってはOH、またはパーツ交換によって、結果高い買い物になる事例もあるので十二分に検討する必要がある。また、J/R系のダイヤフラム欠品の情報もあるので要確認。
また、ニードルを(スプリングで)押さえている白い円盤(パーツ名=ニードルプレート)が入っているがこれがガソリンで変形、硬化しているとニードルが抜けづらくなる。そのような場合、板等にニードルを押しつけるようにして半ば強引にでも針を外してから円盤を修正するか交換したほうがいい。この円盤はバルブ中に入っていてもカタカタ動く(回転する)のが正常で、バルブが上下に動いていても回転するぐらいのクリアランスがあるべきものだ。
ニードルに力を加えないと抜けないくらい固着した状態ならば斜め気味(垂直ではなく)にニードルが固定されたままになってしまい、ニードルジェット内で擦れてしまうか、また僅かであっても燃料の計量に支障をきたすことも充分考えられる。そんなレベルとはいえ、メインジェットの僅かな穴でガス流量を決めているのがキャブレターだ。シビアに考えても損はないだろう。
KZ/Z1100Rではカナダ・ヨーロッパ仕様ともPSは調整可能だが、Z1000J/Rの北米モデルはPSの穴がメクラになっていて、一度ドリルを当て蓋を抜いてからでないとさわれない。しかもニードルが「クギ」だからクリップ位置すら変えられないのでメインジェットを交換するくらいだろう。5段クリップのヨーロッパ仕様に交換してしまうのを推奨する。
PSは全域に影響を与えるものだから、STDの戻し回転にこだわらずイジってみても面白い。PJも必要なら他機種のものを流用すれば変更可能(750、1000、1100ともすべて#37.5なんだよなぁ)。以前インシュレータのエアリークなどは気にも留めず、プラグの色だけで判断しMJのみ替えてみたことがある(笑) 。※購入車両にはK&N製のリプレイスメントフィルターが入っており、STDに比べて空気の絶対量が多かったのも要因の一つだったと考えられる
キャブレターの同調云々も雑誌等でよくいわれるが、これの値にだけ頼らず、ある程度までは目視によっても調整可能なので、脱着の際には必ずチェックしてみよう。意外に狂っているものだ。
狂っていれば強制開閉キャブレターの場合かなりシビアに症状に表れるが、負圧キャブはそれと比べて「なんかイマヒトツだな」ぐらいにしか感じられなかったりすることもあるので、一度完調な状態を完全に把握し覚えておくことが重要だ。
※簡単にキャブの調子をみる方法 エンジンが完全にアイドルするように暖気したうえで、スロットルを操作し最初に2000rpmに合わせ、次に3000、4000、5000と徐々に上げて行く。この時どうしてもうまくピッタリ合わせられない回転数があればその領域の繋がりが悪い、それ以前に同調が狂っているなどが考えられるので調整してみる。PSなどで補えることもあるのでぜひ試してみることをお勧めする。
タンク内に細かいサビが有る場合コックのストレーナーやガソリンフィルターでもあまり役に立たず、BSキャブの場合ではスロー系へのゴミ詰まりに人一倍シビアな反応をしてしまう。エアで各通路を吹き飛ばすと大体直ってしまうが、「花咲かG」などのサビ取りクリーナー等で
一気にやっつけてしまうしかない。交換前のサビサビタンクGPZでは、メインジェットがサビで埋まって番手がむちゃくちゃ小さくなったことがある。NJのブリード穴まで詰まっていた。掃除後、排気音まで変化するくらい調子が良くなったのはいうまでもない。
■オイルクーラー
僕の経験でいえば、STDの排気量、圧縮比でかつ使用条件が限定されるならば純正でも不安はなかったといえる。純正装備品は見たところ頼りないが、テンプメーターで計測する限りでは峠走り、高速ツーリングにおいても異常な上昇は見られなかった。
※油温計はヨシムラ製で、センサーは油圧測定用のシリンダー右穴に装着。オイルパンでの計測とは異なるのをお断りしておく
サーキットランではさすがに負荷が大きいのか上がりっぱなしではあるが、特にタレてくるというほどでもない。それでも数年前の猛暑が続いた夏、街乗り、通勤に使った際の油温表示にビビりが入り、現在使用しているコアに交換してしまった。
ここで考えたいのが車体へのマウント方法だ。アップしている画像のように、僕はコアをほぼ垂直にしている。理由はとにかくシリンダーヘッドにうまく風を当てたかったからだ。そのためコアは10段を選び、ステー類はすべてワンオフで製作してもらった。この仕様にしてからは真夏の街乗りでも渋滞時を除けば表示される数値であわてることはなくなったが、夏の北海道ツーリング、秋、冬の都内チョイ乗りでは少々オーバークール気味だ(その場合コアを厚紙で塞いだりして対策をしている)。
通常販売されている廉価キットの取りつけ方、特に10段以上のコアではヘッドに直接風を当てることだけで比較すると、効率は落ちているはずだ。それでもコアの絶対容量で相殺できているのかもしれないが、僕の場合空冷エンジンゆえに風を当てることを最優先させたわけだ。
※フィッティングの取り出し方が上か下かによって、コアの容量を完全に使い切れるかどうかにも影響するようだが僕は下出し
レーサーKZ1000S1はご存じのようにコアを立てたマウントで、その登場より前の1980年のデイトナ参戦においてもUSカワサキ、#21のE・ローソンKZ1000Mk2は同様だ。徳野・イーガンの駆るモリワキZ1Rは一般的な取り付け方であった(BS誌94年6月号参照) が、それが日米のチューナーの考え方の違いなのかちょっぴり気になるところだ。
※手軽に取り付け可能なテンプメーターだが表示される油温を気にしながらの走行は非常に精神衛生上よろしくない(笑)
■チェーン
いにしえの630を未だありがたがって使っている車両を多く見かけるが、「これじゃなきゃヤダ」っていう人以外はこの際サイズダウンしてしまいましょう。これこそ土人ちゃんです(笑) 。発売当時は強度、寿命から630しか選択幅がなかったのだろうが、現在ならラインナップも多くヨリドリミドリ。同世代のCBはすでに50、今日スーパーバイクZX-7Rなどはとうに520です。
※チェーンに対する負荷は車重より瞬時に懸かる絶対トルクのほうが大きいのです
ショップによっては「50は切れるかもしれないからやめたほうがいい」などと高い630を売りつけたりする例もみられる。ちなみにPL法のからみか某メーカーでは銘柄によっては50でも推奨していないものがある。
僕はSTDホイール時から、またGPZ750にも50(530)を装着している。日頃からチェーンへのメンテは怠らなかったほうだが、そんな悪いとはいえない状態の630からでも50へ交換したときの感動は今でも忘れられない。いつも自宅手前でエンジンを切って惰力で自宅前まで帰ってくるのだが、いつものタイミングでエンジンストップさせると家をスーッと楽に通りすぎてしまうのだ。それくらいフリクションロスが少なくなったのだ。以前ニュースグループで「てっとり早いチューニングはチェーンへの注油等のメンテナンス」などの投稿が見られたがまったくおっしゃる通りです。もともとチェーンはフリクションの塊だから、その発生を押さえる、少なくするということはメンテナンス、交換、サイズダウンしかない。
近頃、いろんなショップから50コンバートの前後スプロケ・チェーンのキットが販売されているがけっこう割高なので、この際お手軽で確実な純正パーツ(前後共歯数は選べる)を使い変更してみよう。
タイヤ空気圧はもちろんだがチェーンも燃費に影響するからして、これのメンテナンスは重要だ。新品や綺麗に掃除したチェーンはなにより走って気持ちがいいじゃありませんか?
いまでもツーリングや、少なくとも雨天走行後などは必ず行うようにしている。汚れは目視でチェック出来るが、充分に潤滑されているかどうかは実際にローラー部を指で回してみればわかる。きちんとグリスが利いている場合はヌルッとした感覚があるし、完全に切れていればカラカラと回る。泥、ヨゴレが多ければいやな感じが伝わってくるのがわかるだろう。特に雨天後は油脂類が流されてしまうのでローラー部がテッカテカに光輝いてしまう。こうなるとグリスとお友達になるしかないのです。
高級パーツを組付けているくせにチェーンが汚ない、マグホイールまで奢っているのに630のままだったり、のびのびチェーンでガチャガチャ走っているバイクを見かけるとがっかりするのは僕だけだろうか?
■ブレーキキャリパ
Z1000J/RでSTDのキャリパーにこだわる場合、KZ/Z1100R、もしくはZX1100A(GPZ1100)のものが入手可能ならそれに換装することをお勧めする。ブレーキをグレードアップした友人や、ショップで転がっているものなどがあればラッキーです。
J以降ではZ系に比べてブレーキの利き、フィーリングはかなり向上してはいるが、ZXから装着されるキャリパーはまた一枚上の物だ。マスターシリンダーのレバーを思いっきり握ればわかるが、キャリパーの剛性の差からボディの開き方が全然違うのだ。ブレーキホースを交換してい
る車両どうしで試してみれば一目瞭然だ。ディスクローターはZ1000Jがφ270、Z1100Rではφ280とサイズは異なるが、ともにキャリパーの取り付けピッチは同じ。ただし、フォーク取り付け部分、キャリパー側サポートの厚みが違うため、1000J/Rに1100系のキャリパーを装着するならその厚み分のカラーが必要となる。カラーの材料にはキャリパーサポートなどに用いられるぐらいのものが最低必要なので注意。
Z1000J/Rではカラーが入るスペースがあることから、APなどのキャリパーを使う場合でもキャリパーサポートが使える位置関係にあるのは明らかだが、Z1100Rではフォーク側が厚くなっているため、そのままでは社外のキャリパーが使えない。精度をだしながら、サポートが入る分だけフォークのキャリパー取り付け部裏側を削らなければならないから、これはきちんと作業、加工の出来るところに依頼するしかない。
※もっともフォーク外側からサポートを当てるというみっともないものでもよしとするならそのままでもいいかもしれないけど。。。
フォークの加工に精度を出したつもりでも、売りっぱのボルトオンキャリパーサポートではおそらく100%のセンターは出ないだろう。もし、「ワンオフは高いからヤダ」と選択し使うならば、その寸法を計測しつつ、取り付け後の位置を割り出してからフォークの加工をしないとシムで微調整ということになる。いくらコストダウンしても精度や仕上がりまで落とすとこはないでしょう。作業の段取りは面倒かもしれないが、せっかく取り付けるパーツです、じっくりキチンと行こう。
■番外編 タイヤ
Z1100RのSTDホイールの場合、現在購入出来る銘柄には限度がある。前後18インチでリムサイズがフロント2.15、リア2.50のため、最近のハイグリップ商品は無きに等しい。このような状況で、僕が一番気に入っていたのがフロント:ミシュランTX11 110-80-ZR18、リア:ダンロップK727 130-80-18V250の組み合わせだ。標準サイズの110-90-18では、外径が19インチと同じくらいあって太い。しかも今日、90扁平ではやぼったさすらある。TXにしたのはべつにラジアルにこだわった理由ではなく、80扁平ということで選んだだけなのである。このサイズ、ミシュランは2.15のリムには推奨していないが、多くのメーカーではなんとか適合サイズ幅に入れているから試してみたのである。
その結果、よりフロントに荷重をかけてというか依存して走ってみてもこれまでより恐くなくなり、安心して楽しめるといえるほど接地感が高まったのである。最初は、キモチ粘る感じがあるかなとも思えたが、慣れればそれほど気にはならないレベルだろう。逆にこれまでと比較してもニュートラルな感じさえある。
外径が小さくなった分、フェンダーとの隙間が増えるので取り付け位置に手を加えたほうがスマート。
TXはそれなりの値段だが、K727はA6ニンジャの標準タイヤだけあって1万そこそこでVグレード。かつてはK427という2.50リム専用130サイズのOEタイヤがあったが、すでに廃番。K727はニンジャの3.00リムに合わせたサイズなのでこちらもベストフィットとはいえないまでも、これまで気になった点はなく、峠、サーキット走行でも僕レベルなら問題はない。強いてあげれば、K727は元々四角っぽく成りやすい形状ゆえ、真ん中が摩耗してきたらカッコ悪いところか。パターンはミシュラン48にウリふたつ。
値段が安く交換するにしてもアキラメがつく。装着サイズに程よくボリュームがあり、見た目重視の方にもオススメできます(笑)。
銘柄やSTDサイズにこだわるあまり、上記のようなチョイスに異をとなえる人も多いが、一般的な組み合わせでは気に入らない場合や(タイヤのパターンは重要です) 、また、いろいろ試した結果ゆえの選択ならば、このような組み合わせもありでしょう。
※保守的なタイヤを履く同型車に乗る友人らにも試乗してもらったが、皆好印象だったのはありがたい
これまでに装着したタイヤ銘柄一覧と印象(順不同)
●エイボン・スーパーベノム 110-90-V18・130-80-V18/120-90-V18
いまでも僕の周りには愛用者が多い。評価されるほど長持ちした記憶はないが、非常にクセがないため、サーキットからツーリングと場所を選ばないタイプの筆頭で、良くも悪くも優等生。唯一、前後同じ銘柄で揃えたことのあるタイヤである。他メーカーに比べて実際の装着寸法は細く、リアに120を履いたときはかなり心細かった。
●ダンロップジェグラ 130-80-18H(リアのみ)
金銭的に一時的に使用(前側はエイボン) 。交換後も普通の速度域では違和感などは感じられなかったが、高速において振れが出るようになった。その後、エイボンに戻して収まった。
※サス、組み合わせの問題もあるので一概にはいえないが同じ症状が出た例も少なくない
●USダンロップエリート 100-90-V18(フロント)
ワンサイズ細めの乗り味に興味を持ったところ偶然カタログで見つけた。○井氏の「よさそうだな」の一言で装着。しかしタイヤ屋を出てすぐに「?」。1週間ほど使ってみたが、どうにもならないハンドリングなので捨てた。粘りが強く寝かしこめず、かと思えば突然倒れていくとでもいえばいいのか。他人を信じてはいけませんの教訓の好例。
●ブリヂストンBT17V 110-90-18(フロントのみ)
これは持ちが良かったと記憶している。履き替えても違和感のない好ましい乗り味だったが、僕はパターンが嫌いだ。サイズの割には太く見える。交換したくてもSACT構造が災いしてなかなか減らなかった(笑) 。
●ミシュランA89X・110-80-ZR18
初めて試した80扁平がラジアル。目からウロコが落ちるくらい良かった。軽快さとヒラヒラが紙一重でバランスしているといったらいいの
か、バイクが軽く取り回しできるといった感じ。しかし、ホイールに装着した形状は「ウヒャー」と驚くほど最悪。STDリムでは無理があるのか。
※やはり理想的には前後同時に交換するべきなのだろうが、金銭的な負担も多く実現したことは少ない。さらに、一般的にもリアの摩耗の方が速く、重量車では顕著なためこのような変則的な交換パターンになってしまったいえる。
フロントに比べ、リアだけの交換はあまりハンドリングに影響しなかったように思う。
■「こんなのもあるぞ」情報とか、「そんなことねえよ」などのご意見ございましたらお待ちしております。
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