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JOJO広重連載コラム
こころの歌・最後の歌
第100回
ほぶらきん
推薦盤「ゴースンの一生」


  この音楽コラム「こころの歌・最後の歌」もこの第100回で最終回である。記念すべき最終回を何にするか迷ったが、最後は「ほぶらきん」にすることにした。

  ほぶらきんは滋賀県で生まれた、1979年〜1983年まで活動したバンドで、彼らの残した楽曲や作品は日本のインディーズミュージックの歴史を語る時には欠かせないものとなっている。奇妙奇天烈、こんなにヘンテコで面白くてユニークで元気が出るロックは、世界中探しても他にはないだろう。もし未聴の方がおられたら、彼らのどの作品でもいいから1度聞かれることをお薦めする。1回聞いたら一生忘れないことは保証する。

  異形の最先端のロックが天才の手にかかって児童向け音楽と合体したらどうなる?そんなわけのわからない歌の世界。それがほぶらきんだった。そう、彼らは天才だった。わけがわからないという言葉は最高の誉め言葉だ、とは、やはり天才詩人&シンガーの三上寛さんの言葉だが、それを具現化し、真骨頂を極めたのがほぶらきんなのだ。

  私は彼らの作品を同時代に耳にして、レコードを買い、彼らのファーストライブを企画したひとりである。私の友人にしてアンバランスレコードというインディーズレーベル主幹であった林直人は彼らの後年の作品をレコードにしてリリースした。バンドなきあとはアルケミーレコードが彼らの作品をまとめてアーカイブする作業を行っている。ほぶらきんの音楽を後世に残すことが私の最も重要な仕事のひとつなのだ。


  ほぶらきん。彼らの音楽があるからこそ、アルケミーレコードを始めたのだと思う。私の音楽人生の根元的な部分にほぶらきんの音楽はある。どんなに落ち込んでいる時も、ほぶらきんの音楽を聞けば元気になる。もう1度言うが、こんな音楽は世界中探しても、ほぶらきん以外にはない。

  アルケミーレコードとしての現在最後のCDリリースは「ほぶらきん森下太郎ソロ/ゴースンの一生」である。これはほぶらきんの全作品の中では番外編のような存在だが、それにしても、やはり毒々しく輝く地上最強のユニークな歌のオンパレードにはかわりはない。ゴースンが主人公のこの壮大すぎるロックオペラは、実質的なアルケミーレコードのリリース作品として最後を飾るにふさわしい1枚だろう。

  今、私が一番恐れているのは、私が臨終を迎える時、頭の中に流れるのがほぶらきんの音楽なのではないか、ということである。『赤貝、赤貝、死んだら赤貝!』...ああ、私の葬送曲はたぶんこの曲だろう。



JOJO広重 2011.4.7.



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