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第27回
ルー・リード
推薦盤「THE BELLS」

 最近のルー・リードはどうも好きになれない。いや、最近というよりは、ここ20年くらいの作品、ライブ、インタビュー、風貌、みんな好きになれない。ヴェルヴェッツや「ベルリン」にはまって、「メタル・マシーン・ミュージック」で燃えて、「コニー・アイランド・ベイビー」「ロックンロール・ハーツ」のジャケットなんかを愛した世代には、どうもインテリっぽくなったルー・リードはいただけないのである。いばったヤツは嫌いなのは昔からだから、途中から偉そうにするヤツは裏切りものにしか見えない。昔はよかったなんて言いたくないが、ここまでくると、ちょっと諦めの心境である。
 

 じゃあ、ルー・リードはどこまでだったのか、というと、1979年発表の「THE BELLS(邦題・警鐘)」である。実はヴェルヴェッツも、まったりした初期作品ももう聞かなくなって久しい。70年代後半に発表された「ストリート・ハッスル」とか、「テイク・ノー・プリズナー」なんかは年に1回くらいは耳にする。でも、一番好きなのは「THE BELLS」だ。
 

 つまり、歌詞がいい。このアルバムのキーになっている言葉は「with you」で、そのものズバリの曲(ニルス・ロフグレンによる軽妙な曲調が心地よい)もある。君といると最悪だ、という曲だが、もちろん君と一緒にいるよ、という曲であり、そして「slow down(おちるんだ)」という言い回しが、まるでTレックスの「slider(すべるんだ)」のように、気持ちに残る。
 

 ドン・チェリーのトランペットも哀しいテイクや、ジャーマンかぶれの雰囲気もあるが、決め手はニルス・ロフグレンに3曲もかかせたことではなかったか。そしてその哀愁が、70年代の終焉にふさわしいレクイエムとなっている。それは70年代を生きて、そして80年代をインテリに生きるという逃げ道を選択する、ルー・リードへのレクイエムとなった気がする。
 

 ウィズ・ユー、って、いい言葉なのに、やっぱり、さびしい。
 

JOJO広重 2001.10.31.



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