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第33回
オリジナルサウンドトラック
推薦盤「ファントム・オブ・パラダイス」

 「こころの歌・最後の歌」は全100回を予定している。まあ、100枚くらいのアルバムやアーティストを紹介すれば、私の聞いてきた音楽の概要を伝えられるかな、と思っている。何歳まで生きるのか、これからもどんな音楽を聞いて、何を思い、何に感動するかはわからないが、まあ、音楽なんてこんなもんかな、というような、軽い絶望感も、当然持っているわけで、意気揚々として「音楽は素晴らしい!」と言いたいわけでもないのである。淡々と100回まで迎えたいと思う。
 

 先日、自選ベストの編集をしていて、自分の歌詞のひどさに、改めてあきれた。おおよそ、子供には聞かせられないような、まあ、例え「死ね」というのは「生きろ」という裏返しであると解釈されたとしても、それにしても、三上寛ではないが、なんてひどい歌なんだ、と、思う。
 

 しかし、自分で歌詞を書けば、どうしてもあんな内容になってしまうわけで、どうしてかと思えば、そのルーツは、このデ・パルマの映画「ファントム・オブ・パラダイス」のエンディングテーマ"この世は地獄さ"にあるように思う。この映画を最初に見たのは映画館だったか深夜放送のテレビだったかは記憶が曖昧だが、もちろん映画としても破滅的な映画ではあったが、『誰もお前なんか愛していない/お前が死ねばみんな喜ぶ/さっさと死んじまいな』というポール・ウィリアムスの歌詞には、74年当時、中学生の私にはやっぱりショックだった。この映画が今でも印象に残っているのは、このエンディング曲があるからだろう。
 

 つまりは、言葉が、単に漢字や単語のつながったものが、映像イメージすら超える、もっと別のイメージをこころに焼き付けることもあるということだ。それは思い込んでも為し得るものでもないし、さりとて思いもなくては記憶にも残らない。
 

 自分の書いた歌詞が、自分の書いた文章が、例えばこのコラムが、何かになるかもしれないし、何にもならないかもしれない。それはつまりは、自分が生きていても何にもならないかもしれないし、何かにつながっているかもしれないということと、さほど変わりない。
 

 でも、しかし、「死んじまいな」って!...ねぇ。
 

JOJO広重 2002.1.24.



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