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第78回
KLF
推薦盤「CHILL OUT」

  90年代に発売された音楽アルバムなど、ほとんど聞いていないのではないか。そう思う時がある。誤解を恐れずに言えば、ロックミュージックは1970年代で終わっているのだ。正確には、1979年が最終年度である。だから、1980年以降の音楽には、あまり興味がない。聞いていたとしても、70年代から活動しているアーティストやバンドの、その延長線上を探っている、それだけのことだ。  

  テクノもハウスも、おおよそサンプリングをしている音楽の大半は嫌いだ。聞かず嫌いだと言われてもかまわない。おもしろくないものは、おもしろくないに決まっている。そう思いたいのだ。DJとか、ヒップホップとか、なんでもいいが、新しい音楽は全然新しくないし、おまえらのやっていることなど、心底くだらない、と、心底思っていることが多い。なぜなら、例えば、DJなど「かっこよくなんかねえんだよ」の一言で終わる職業だからだ。  

  そんなに軽蔑していても、このKLFの「CHILL OUT」は、聞く。なぜならこのアルバムは、言われているような"アンビエントハウスの決定版"などではないからである。癒しの音楽ではなく、極めて悪質なマインドが、すべて裏返った結果、こんな音になったからだ。つまり、地獄のような優しさ、といったようなものだと思う。極悪のヤクザが、かわいいスケにちょっと優しくしている、そんな雰囲気である。ゾクゾクする。  

  KLFがなんだったのか、ということは、バイオグラフィを調べても、なんだかよくわからない。やんちゃなやつらが馬鹿をやっただけのような、そんな風にも見える。もしかしたら、テクノの連中にとっては、彼らの行動や活動は伝説的なものなのかもしれないが、絶対にそんなわけはないだろう。むしろ、クズみたいな連中のはずだ。そんなやつらだから、こんなアルバムが偶然作れてしまうのだ。
 

  もう1枚くらい、こんなアルバムを作ってくれよ。無理か!

 

JOJO広重 2005.3.21.



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