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第88回
頭士奈生樹
推薦盤「V」


  『もういちど/あなたに会えたなら/伝えたいことがあるのに』(最後に)


  螺旋階段、非常階段、IDIOT O'CLOCK、渚にてなど、関西のいくつかのバンドのギタリストとして、知る人ぞ知る存在の頭士奈生樹くんを語るのは、ちょっと難しい。彼とは古い音楽仲間であり、今は何年かに1度会ったり、音を交えたりする程度であるが、わたしの大切な友達のひとりでもあるからだ。

  彼にはこのアルバムの前に2枚のソロ作品があり、それぞれのアルバムにも、聞き手が大切に思うであろう曲が納められている。アルケミーレコードからは、非常階段と螺旋階段時代の頭士奈生樹の演奏を収録したアルバムも出版されている。
  しかしこの2005年7月にリリースされた「頭士奈生樹/V」は、それらのどのアルバムとも違う、彼らしさと、彼がなにかに到達したかのような、澄み切った青のような、すがすがしさを感じることができる。

  サウンドは夢の中の音楽のようだ。こもったような頭士奈生樹のボーカルは、決して明るいとはいえない。サウンドのトーンも、暗い。しかし、それでいて、この突き抜けたような開放感はなんなんだろうか。音楽がただ、聴くものだけではないことを証明したかのような、何度も何度も聞く価値のある、素晴らしい作品だと思う。
  私はこのアルバムを、生涯をかけて、くり返し聞くだろう。



  『かなう夢など夢ではない/かなえられない夢こそ愛おしい』(窓)

  頭士くん、こんな罪な歌詞は、ないよ。
  この1行で、わたしは何度泣いたことだろう。
  そして、そして、わたしはやはり、夢を追う。


  『君がいる/その光の粒の中へ/とけてゆく』(光の粒)

  この「光の粒」は、頭士くんにコードをおしえてもらって、32年ぶりにカポタストまで購入して、あるライブでカヴァー演奏をしてみた。
  いつか、自分の歌にしたい、そんなふうに思える曲だ。
  この美しいラブソングを、最愛の人に、ささげよう。


  想いを大切にする人だけに訪れる「奇跡」が、ここにある。



JOJO広重 2006.7.21.



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