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JOJO広重連載コラム
こころの歌・最後の歌
第95回
デビッド・アレン
推薦盤「Good Morning」


  なんでもない日常。いいことも悪いこともない日常こそが至高の幸せの状態だ。



  ある程度の人生、つらいことや苦しいこと、楽しいことや感動することを経て、そしていくつかのことに気がつけば、実際はなにもいらない、むしろなにもないことのほうが心の平安につながることは、そんなに難しい人生の摂理ではないだろう。煩悩や欲望に流されることはいくつになっても多いが、いや実際はなんでもないことのほうが案外に難しいのかもしれない。

  過激な音楽も、最高な音楽も、泣いてしまうような音楽も、心を動かされるような音楽もいらない時がある。きっとある。そんな時にはこのデビッド・アレンの「グッド・モーニング」をおすすめしたい。

  デビッド・アレンはソフト・マシーン、ゴングといったプログレッシブ・ロック・バンドの元祖の存在の中心メンバーだった。どのバンドからも1度は離れ、実質のゴングはアレンのことを指し、ソロも含めて多種多様な作品がリリースされているので、実際はどれから聞いたらいいのかわからない人も多いのではないか。ゴングなら月並みだが「フライング・ティーポット」「エンジェルス・エッグ」「ユー」の3部作、ソロなら70年代に作られたこの「グッド・モーニング」と「N'existe pas!」「Now Is the Happiest Time of Your Life」の3枚がよい。

  ソロのこの3枚に共通するささやかさ、なにもなさ、孤独、そして自由。このなんでもない音楽にたどり着くことは、実はミュージシャンの夢であり、めったに実現しない瞬間なのではないかともおもう。

  そこにいるだけでいいのだよ。

  そうは、なかなか言えないものだ。もっともっと日本の音楽家は修行する必要がある。



JOJO広重 2008.2.17.



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