現代音楽とは、20世紀後半以降のアヴァンギャルドなクラシック音楽の延長の音楽とされている。クラシックの延長ということで、なんだかアカデミックな印象があり、現代音楽とはどうも好きな呼称ではない。そもそも発表されて何十年もたっているのに「現代」とは何事か、という気もしてくる。
それでも、10代の頃は現代音楽と呼ばれる音楽をいくつも聞いた。プログレッシブ・ロックの中にはアブストラクトなサウンドを冠した音楽がいくつもあり、もっとヘンテコな音楽はないのかと探求していくと、当然のように現代音楽にたどり着いた。ベリオ、ジョン・ケイジ、スティーブ・ライヒ、テリー・ライリー、ラモンテ・ヤング、クセナキスといった作曲家の作品は、10代後半の時に自然に出会ったといえる。そしていくつかは面白く、いくつかはつまらなかった。即興音楽の方向に強烈に魅力を感じていた時期に、作曲された音楽はスコアがあるというだけで何かが劣っているように感じた。
しかしベリオ、ラモンテ・ヤング、テリー・ライリーは好きな作曲家だった。レコードを何枚も買うような熱烈なファンではなかったが、その作風や姿勢は気にいっていたのだと思う。ベリオはキャシー・バーベリアンの声に、ラモンテ・ヤングはドローンの永遠性に、そしてテリー・ライリーにはミニマル=繰り返しの手法と音色の美しさに。
テリー・ライリーの傑作は「In C」と「レインボウ・イン・カーブド・エア」である。この2枚は廉価盤CDで何度も再販されているので、簡単に入手できる。決して聞いて損のない2枚だ。しかし私はテリー・ライリーが音楽を担当した映画「眼を閉じて」のサントラ盤を推薦盤としてあげたい。
映画は1971年か2年に制作された映画だが、日本で公開されたのは1970年代の後半、77年か78年くらいだったと思う。私は京都の日仏会館で上映された時に見に行き、そしてなぜか日本盤も発売されたテリー・ライリーのサントラ盤LPも購入した。70年代前半のジャーマン・プログレッシブ・バンド/タンジェリン・ドリームを思わせるサウンドテイストと、流れるようなミニマル風のサウンドには、聞いているうちに精神が音と融合していくような、何度もそんな至福な感覚をこの音楽に見いだしたことを覚えている。
このアルバムは長くCD化されていなかったが、2007年にアメリカ・サンフランシスコのレーベルから「Les Yeux Fermes & Lifespan」という、ライリーの担当した2本の映画音楽の2in1の形でリリースされた。流通配給は「Revolver USA」で、これは赤痢のボーカルだったみゆちゃんの旦那のシーモアグラスが勤める会社である。そんなことも、ちょっと嬉しかった。
JOJO広重
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2008.10.22.
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