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![]() 魚野川水平歩道
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コース
1日目 野反湖〜地蔵峠〜西大蔵山〜渋沢ダム〜切明〜屋敷
2日目 屋敷〜津南駅〜十日町駅=越後湯沢=水上=渋川=長野原草津口−野反湖
群馬・長野県境にある野反湖より端を発する魚野川。この川は秋山郷の切明けから
中津川と名前を変え新潟の信濃川に注ぐ川である。この糸魚川の中ほどにある渋沢
ダムから切明近くまで、山中にほぼ水平に続く道がある。魚野川水平歩道。かつて
渋沢ダム建設時に資材搬送に使った森林軌道を、ダム建設後ダムと取水口の保守の
為の巡視路に転用した道である。
まるで自転車の為に用意されたみたいな道を紅葉のシーズンを狙って走ってきた。
宿をここ
で調べて、電話をかけまくったが、さすが10/10どこも一杯であ
る。ようやく屋敷に民宿を確保し、計画を実行できる事になった。
今回のメンバーは、同じ会社でここ何年も一緒に計画をしてきたK熊さん。も
う一人は最近一緒にツーリングに行く事が多いK原さんである。
10/9夜11:30に集合した我々は、K原さんと私の車2台に分乗し、一
路長野原草津口を目指した。長野原草津口にはAM3:00ぐらいに到着。朝
6時に起きる事とし、仮眠ついた。
翌朝6:00、起きて朝食を済ませ、1台の車に自転車,荷物を積み替え野反
湖を目指す。野反湖までは結構な勾配の道が続く。こんな道を自転車で自走し
たら大変だなど話しながら、標高を上げて行く。天気は10/10のお約束ど
おりの快晴である。まだ紅葉にはちょっと早い木々を眺めながら運転して、野
反峠を越えると目の前に野反湖が広がった。野反湖はなだらかな山に囲まれた
ダム湖で回りには手付かずの自然が残されている。開放的で、気持ちのいい湖
である。野反湖を左手に眺めながら湖岸の道を進めば、やがて白砂山の登山口
がある駐車場に着いた。時刻は7時を少し回ったところだった。回りの紅葉は
今一つ。ちょっと早かったみたいである。
駐車場にはすでに自転車の準備をしている先客があった。話を聞けば山スキー
で知り合ったメンバーだそうで、遠く滋賀から来ている人もいるとか。人数は
6人ぐらい(正確に把握できていません。)、うち一人は女性である。行動予
定を聞けば、我々と同じコースを辿った後切明でテント泊。明日は切明から雑
魚川林道,奥志賀林道を通って、渋峠,芳ヶ平,花敷経由で戻るというものす
ごいプランである。どおりでみな大きなザックを背負っている。彼らは、我々
が準備している間に「では、お先に〜、ダムで会いましょう〜。」と先に出発
した。ところが、我々が準備を済まし出発しようとしているところに、ひとり
戻ってきた。出発早々パンクだそうだ。パンクの方を残し、我々もいよいよ水
平歩道へ向けての一歩を踏み出した。
野反湖〜渋沢ダム
駐車場脇の登山口から登り始めれば、すぐに下りになる。ここで、先ほどのグ
ループの一部が先ほどのパンクの人を待っていた。下ってハンノ木沢。ここに
も先ほどのグループの方約2名。「お先に〜」と声をかけて沢に渡された板を
わたり、地蔵峠に向けて歩き始める。道は仮払いされており、歩きやすい。自
転車を押していけるが、担いだほうが楽そうなので担いで登る。道は山裾に沿
ってゆっくり上がって行く。しばらく行くと、分岐があった。水平に続く道は
shidaさんが間違えた道であろう。地図で場所を確認後、標識が示す方向へ歩
き出す。峠はそこからすぐのところにあった。
峠は白砂山と水平歩道への分岐になっていて、側にはお地蔵様がある。毛糸の
ちゃんちゃんこを着たお地蔵様に旅の安全を祈願する。
ここで小休止していると、山スキーグループがぞくぞく到着。
「先にダムで待ってます〜。」
「では、ダムで水道の元栓開けといてくださいねぇ〜」
「???」
こんな会話を交わし、休憩場所を譲るようにして出発。(元栓の件は、ダムに
行って理解できました。)北沢に向かって下降。岩や石が多く、ここらは乗車
できない。自転車と共にずるずると下って行く。北沢には橋がなく、飛び石伝
いに渡る。ちょっと水量が多く、ひやっとする。
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地蔵峠から1時間ほどで、今回の最高地点付近に来た。登山道は大蔵山の山腹
を巻くように続いている。ここからもう1回沢に下りて、再度登り直せば西大
蔵山である。ここで10分ほど休憩。
回りの山々は緩やかな山並みで、広葉樹が多い。かやとに覆われた緩やかな尾
根が見える。反対側の沢の深さとは対照的な山並みが続く。西大倉山にはピー
クの標識は見当たらない。道が下り始め、いよいよダムに向けての700mの
下りが始まる所で、休憩とした。
西大倉山からの下りは山サイ研のツーリングブックによれば、80%の乗車率
だそうだ。尾根上のきついタートターンが続く。ターンがきつくて降りること
しばし。また倒木も多い。乗車率は60%くらいか?。夢中でタイトターンを
こなして行くと、木々の間からダムが見えてきた。渋沢ダムまでもう少しであ
る。急な斜面を降り、吊り橋を渡って、荒廃した監視小屋の脇を抜けると、渋
沢ダムの小屋の前にある広場に飛び出した。時間は11時半。野反湖から4時
間の行程であった。
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ダムの回りは広場になっていて、草地が広がり格好の休憩場所を提供してくれた。
広場を囲むように小屋が3軒。1軒はダムのすぐ側にあり、りっぱな鉄筋の建物
である。もう二軒は木造で、1軒は資材小屋であろうか?鍵がかかっていた。
避難小屋の前の広場に自転車を投げ出し、昼食とする。 昼食を取っている間に風が強くなってくる。北の空には黒い雲が湧き出してきた。カッパをだして着込む。 |
そんな事をしている間に、ぞくぞくと下からの登山者が到着しだした。どうや
らここで一泊するみたいである。我々の自転車を見て、「すごいねぇ〜」「ど
こからきたのぉ〜?」「野反湖から?そりゃまたすごいね〜」とお約束の会話
が弾む。中の一人の方と話すうちに、沢屋さんで、ここいらは庭見たいものだ
とか。(沢でテントを張るのは止めたほうがいいとのこと。鉄砲水が出るそう
です。)例年10月10日ぐらいに紅葉が見頃なのだが、今年はまだこれから
だと残念そうだった。
1時間ほどダムの回りでぶらぶらしていると、やっと山スキーグループが到着
した。慣れたもので、到着するやザックからビールを取り出し、水が出ている
ホースの下に置かれたバケツに放りこんだ。
渋沢ダム〜切明
山スキーグループとも無事再開を果たし、さていよいよ水平歩道に向けて出発
である。まずはダムにかかる吊り橋を渡る。ダムの水はエメラルドグリーンで
透明感がある不思議な色をしている。渡りきれば、そこから幅1.5mくらい
の水平な道が切明けの方に向かって伸びていた。
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やがて最初の人道トンネルの入り口に到着した。中は真っ暗であるが、奥の方
に出口が見えている。手探りで行けるようにだろうか、手すりが伸びている。
K原さんがヘッドランプを点け、その後に2人が続く。すぐ前に明かりが有る
のだが、3人の最後に入った私はもう足元が見えない状態である。手すりを手
がかりに前に進む。途中でトンネルの天井が低くなった。腰をかがめながら、
前進し無事トンネルを抜けた。
水平歩道はさらに続く。歩道が沢を横切るところでは鉄の網でできた橋を渡し
てある。橋台をよく見ると、かなり古そうである。これは林鉄のなごりか?
おもわず、写真をパチリ。
右側の谷はだんだん深くなってくる。尾根を回り込むとその先の道が見えるわ
けだが、とんでもない所に道が続いている。よくこんな所に作ったものだ。
時計の高度計を見れば、高度が1100mで水平なグラフを描いている。
「おっ! これは!!」
と叫ぶK熊さんが指差す先には何やら枕木のような物が道に埋まっている。こ
こでも思わず写真をパチリ。廃鉄の専門家がいるとこれだから恐い。
やがて2つめのトンネルに。このトンネルは内部が崩壊しているのか、通行止
めである。入り口から覗けば、出口が見える。通れればすぐなのに。。。
トンネル脇から迂回路に入り、この尾根を越える。急遽作った道なのであろう
か、今までの快適さとは雲泥の差がある。かなり急な道を登り、また急な道を
降りれば、トンネルの出口に出た。ここにはトンネル内部から湧き出している
と思われる水がホースで引いてあり、道端にじゃぶじゃぶ出ていた。飲んでみ
ればなかなかうまい。水を飲むついでに、休憩となった。
ここから右側はさらに深くなって行く。歩道の高度は変わらないのだから、川
が標高を下げる分だけ川との標高差ができる。道端から覗くと、ぞっとするよ
うな景色が広がる。途中の沢の橋が何個所か流されていた。先ほどの台風の影
響らしい。注意して沢を横切る。
2つ連続したトンネルを越えれば、水平歩道も終わりに近い。なごり惜しむよ
うにゆっくり自転車を進めるが、やがてベンチのある水平歩道の終点に到着し
た。
ここからは、切明までジグザグに急勾配で高度を下げて行く。つづらのカーブ
がきつすぎてとてもじゃないが乗れない。自転車を押して下って行く。勾配が
ゆるくなり、沢音と登山者の話し声がきこえたと思ったら、魚野川を渡る釣り
橋に着いた。これを渡りきり、林道を走れば切明は近い。