2001年11月8日 参議院法務委員会
 


2001年11月8日 参議院法務委員会
 
小川敏夫参議院議員(民主党)が
東京地裁民事第三部の決定をふまえ、アフガン難民の収容停止求める
  

  11月6日の東京地方裁判所民事第三部の決定を受けて、参議院法務委員会で民主党の小川敏夫議員が質問を行いました。答弁に発った森山大臣はいつものように冷え切った答弁に終始しましたが、小川議員は民事第三部の決定を受けて法務省が9名に適切な対応をするように強く要求しました。
 
 



 
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 司法制度推進法案の質疑に先立ちまして、一点、ここ二、三日、難民に関する点で注目すべき裁判がありましたので、その点について質問させていただきます。
 この点は、先般の入管法の質疑の際にも千葉理事の方から指摘があった問題ですけれども、ちょうどその後、難民申請中の外国人に対して強制収容がなされた。これに対して、一日違いでその申し立てを認める、収容を解くという申し立てと収容を解かないという判決と両方が出たわけですが、それに関連してお尋ねするんですが、どうも日本の政府の取り扱いは、難民に対して難民を認定するのが厳し過ぎるのではないか、難民に対する人道的な配慮が少し不足しているんじゃないかというような印象をどうも私、持っておるんですが、法務大臣、その点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 日本の取り扱いが、特に難民に対する同情心というか思いやりが欠けているのではないかという御質問だといたしますと、そういうことはないというふうに申し上げなければなりません。
 難民というのは、御存じのように、やっぱり条約で決まったものであり、それの条件を備えている者が難民として認定されるということになっておりますので、まじめといえばまじめなんですよね。そのとおりにきちっときちょうめんにやっているというふうに私は思っております。難民の、その人の状況によっていろいろと同情すべき点をも、いろいろとしんしゃくするべき点は十分に勘案した上でそのような条件に該当する者を難民とし、しかるべき措置をしているというふうに考えております。
○小川敏夫君 日本の場合、周囲が海で囲まれていますので、他の国と単純な数字だけでは比較にならない部分がありますが、日本はやはり厳し過ぎる、人道的な配慮が欠けているのではないかという声もありますので、そういう声が出ないような政策なり対策を講じていただきたいというふうに希望を申し上げます。
 それから、この出た判決の件なんですが、片方の判決に従えば釈放しない、片方の判決ですと釈放するということなんですけれども、裁判は、これ最終判断じゃありませんので最終決定は先のことになるとしても、どうも明らかに乱用に当たるような申し立てではなさそうでありますし、また当該関係者が重大な犯罪を犯すというような合理的な疑いがある場合でもないというような例であるように思うんですが、そういった点から考えますと、最終審の判断を待つということではなくて、やはり第一審で、裁判所の一つであっても、そうした難民条約の趣旨を踏まえた、難民の人権に十分配慮した判断が出たわけですので、法務省においても、そうした下級審の判断であっても、その点を重視して難民の人権に配慮した対処をしていただきたいと希望
しておりますが、そこら辺のところはいかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますように、十一月の六日にアフガニスタン人に係る収容令書執行停止申し立てにつきましてその執行停止決定がございましたが、この決定につきましては、難民条約等に関する解釈の判示に不服があることなどから即時抗告をいたしました。
 なお、この点については、結論の異なる決定が、つまり全く違う決定が今月五日、その一日前に東京地裁の別の裁判体で出されているわけでございまして、これは、裁判官にもいろんな考え方の方がいらっしゃるでしょうが、法務省としては、同じようなケースについて違う扱いというのは非常に困りますもので、高等裁判所の御判断を仰ごうというふうに思っております。
○小川敏夫君 今、私、質問の中では判決と言いましたが、決定ですので、訂正いたします。
 最終的な判断はまた上級審で統一的な判断が得られるとは思うんですが、それまでの当事者のいわゆる身柄が収容されている、片や、収容されないという状態で、どうも別々になるのも何か国民感情からいってもしっくりしないというふうなところがあります。それを収容する方にそろえるんじゃなくて、収容しないで、難民の人権に配慮した方にそろえて、難民に公平な扱いをしていただきたいということを特に希望いたしまして、この部分に関する質問を終わらせていただきます。
 


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