アフガン難民たちからのメッセージ
 


 
アフガン人たちの「帰国」の「障害」
国際イラン人難民連合機関誌「ハンバステギ」
英語版 第113号 2001年12月10日発行
編集長 マリアム・ナマジー
 


  
「国際イラン人難民連合」(IFIR、本部ロンドン)は、欧米に亡命したイラン人でつくる国際組織で、
イラン・イスラーム共和国の政治的イスラーム体制 political Islam に反対し、
世俗主義に基づく国家を作ることを目指している。一方で、世界各国における
イランやアフガニスタンの難民のおかれている処遇を改善するための
アドボカシー活動も行っている。
 
 
 暫定政権の設置に関する合意を記したインクはまだ乾いていないが、ヨーロッパや周辺地域の政府はすでに、アフガニスタンにアフガン人たちを「帰国」させる計画に入っている。パキスタンは市街地に長年住んでいた難民たちを難民キャンプに送り、帰国を促している。イランからは24000人が「自発的に帰国」したが、国連難民高等弁務官事務所は「アフガン人たちのある部分は強制送還されているかもしれない」と認めた。イギリス政府も、こうした「帰国」を促進するためのプログラムの策定について検討を始めている。さらに、UNHCRはアフガン人たちの帰国を支援し、それを鼓舞するための努力を刷新しつつある。ルード・ルベルス Ruud Lubbers 高等弁務官は、世界の難民や避難民の中で最大の人口を占める人々が帰還した場合、アフガニスタンの経済復興や安定に意義のある significant 影響を与えるだろうと述べている。また彼は、ここ20年の間に「亡命状態の中で」生まれ、「祖国をみたことのない」数百数千のアフガン人たちいも、今や帰ることができると述べている。彼らの市民権、どこで生まれたか、外国での在住期間の長さ、彼らの希望等を度外視して、彼らは「帰られなければならない」というのである! 
 しかしながら、ルベルス氏は「帰国」計画を立てる中で、アフガン人たちの帰国について、いくつかの障害があることについても述べている。彼は「国全体に広がる社会史限や家屋などの崩壊と、数百万個にのぼる地雷」であると述べている。彼は次の事柄をつけ加えることを忘れている。「空爆、内戦、干ばつ、基金、イスラーム的反動、性的隔離 sexual apartheid、人権侵害」。アフガニスタンでは、この冬数百万人が餓死の危険に直面している。最近の政治勢力間の先頭で、国連は自組織の国際スタッフをマザーリー・シャリーフから撤退させた。先週、武装した男性たちがカーブルの外でバスを止め、髭を剃ったことに対する罰として、6名の男性の鼻と耳を切り落とした。女性はヴェールを着せられ、抵抗する権利を含め、彼女らの権利を否定されている。(つい最近、ボンのサミットそれ自体から下された命令により、女性の権利に向けてのデモンストレーションが禁止された)。 
 ルベルス氏がふれていないその他の障害として、数週間のうちに権力を掌握する臨時政府が、本来アフガニスタンの国家を運営するなどよりも、アフガンの人々に対する罪により訴追されるべき戦犯たちによって構成されているということが挙げられる。それだけではない。 
 国連や西側の政府の立っている地点からみると、アフガンの人々は、どうも自由選挙に参加したり、世俗主義的な社会に住むということができない「亜人間」であるように見えるようだ。権力は、もっとも残酷な形で分割されているが、しばらくすると、「ロヤ・ジルガ」と呼ばれる前史時代からの民族的な協議会が国を運営するということになるという。アフガン人の権利すら相対的なものと位置づけられている。ボン合意では、アフガニスタンの人々は自らの政治的な未来を、イスラーム、民主主義、地方分権、社会正義の原則に従って自由に決定することができると述べられている。また、司法委員会というものができることになっているが、これについても「イスラーム的原則、国際的基準、法の支配、アフガニスタンの法的伝統に従って司法システムを再建する」とされている。これは、より多くの石打ち刑、身体切断、強制的なヴェール着用、子どもの結婚などを意味するものである。宗教的・民族的反動がアフガンの人々に再び強制されようとしているのである。これは拒絶されるべきである。また、20年間に渡るイスラーム的反動から逃れてきたアフガンの人々を強制的に送還することも、拒絶されなければならない。アフガン人は、亡命の権利と庇護を認められるべきであり、彼らの普遍的人権も守られるべきである。そのことを下回るいかなることがらも、受け入れることはできない。 
 
 

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