東京市民活動コンサルタントArco Iris 緊急情報コーナー


在日アフガン難民問題関連ニュース短信
(2001.11.16〜)


  
このコーナーでは、在日アフガン難民問題に関連する、
難民問題、外国人労働者問題、中東問題などに関する情報のうち、
本ホームページ作成者の稲場が重要だと考えたものについて
簡潔にアップしていきたいと思います。
  

○2001年11月15日 エジプトで同性愛者23名に懲役刑
 

 エジプトでは、5月11日に同性愛者に対する弾圧が行われ、ナイル川に係留されていた大きなボートで営業していたゲイ・クラブにいた人々を始め、合計52名が逮捕されました。その後エジプト当局は、52名を「不道徳な性行為」の罪、主犯格の複数の人物を「イスラーム教にかかわる誤った過激思想を流布した」罪で起訴しました。
 この件については、アムネスティ・インターナショナルや米国のイスラーム教徒の同性愛者団体「アル・ファーティハ」al-Fatiha Foundation などがエジプト政府に対して抗議運動や事件調査を展開し、この52名の多くが実際に同性間性行為を行ってすらおらず、性的指向についての推測だけで検挙されたということも判明しましたが、カイロの国家保安裁判所 State Security Court は11月14日、主犯格とされる人物1名に懲役5年、副主犯格1名に懲役3年、20名に懲役2年、1名に懲役1年、残りの29名については無罪とする判決を出しました。しかし29名についてはまだ解放されておらず、検察庁が控訴する恐れもあります。
 エジプトはイランなどと違い、近代国家化のプロセスの中でイギリス・フランスの法体系を導入して法律の骨格が作られた世俗国家です。また、法律制定のプロセスの中でソドミー条項(同性間性行為を罰する規定)は取り入れられず、同性間性行為を禁ずる法律はありません。しかし、今回は同性愛を「不道徳」とするエジプト宗教見解庁の決定に基づいて刑が下されたものであり、エジプトの立法・司法システム自体が批判にさらされました。アムネスティ・インターナショナルや国際レズビアン・ゲイ人権委員会(IGLHRC)、「アル・ファーティハ」などは今回の判決を厳しく批判するコメントを相次いで発表しています。
 
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○2001年9月24日 国際イラン人難民連合がニューヨークテロについて声明
 

 2001年9月11日に米国ニューヨークで発生した同時多発テロ事件について、欧米に亡命したイラン人たちで作る組織「国際イラン人難民連合」(Hambastegi, International Federation of Iranian Refugees)は、9月24日、機関誌「ハンバステギ」第108号において、「テロリストたちはテロを終わらせることはできない、できるのは民衆のみ」(Terrorists Cannot End Terrorism, Only We Can)という表題の声明を発表しました。
 声明の要旨はおよそ以下の通りです。
  • アメリカの人民を襲った9月11日のテロ事件は、人道に反する犯罪であり、ジェノサイド行為である。IFIRは犠牲者とその家族・友人たちに最大の哀悼の意を表する。またIFIRは、この犯罪に責任ある者を拒絶する。我々はそれが何者かを知っている。
  • 反動的な政治的イスラーム運動 The reactionary political Islamic movement は、米国におけるテロリズムに最大の責任を負っている。また、米国だけでなくイラン、アフガニスタン、イラク、サウディ・アラビア、パレスティナ、スーダン、アルジェリアにおいても、これらの勢力は非人道的なジェノサイド行為を行い、人々に不寛容を強いている。アフガニスタンでは、タリバーン政権が女性を学校や職場から追放している。イラクでは、セックスワーカーが斬首に処せられている。21世紀になるというのに、自発的な性交渉に関して石打ち刑が適用され、公開処刑が当然のごとく行われている。
  • しかし、これらの運動は、テロリストとして拒絶されるべき勢力の一方に過ぎない。これらの政治的イスラム運動を育成し、冷戦時代にこれを社会主義勢力に対抗する勢力として利用してきた西側諸国の政府も、同様の責任を負わなければならない。例えばイランにおいて、ホメイニー師を中心とする宗教主義勢力は、1979年の革命で勢力を拡大した左翼への対抗物として押し出された。アフガニスタンの宗教主義勢力は、ソ連に支えられた政府に対抗するために育成された。
  • 私たちは、すでに誰がテロリストかを知っている。米国はこの危機を、超大国たる地位を没落から救うために利用している。彼らが行う戦争によって、テロリズムを終わらせることはできない。
  • テロリズムを終わらせることができるかどうかは、私たちの闘いにかかっている。パレスティナ問題の解決、非宗教的 secular 運動の支援など、多くのことが成し遂げられなければならない。また、アフガニスタンやイランなどにおける政治的イスラーム運動の迫害から逃れてきた難民に対して国境を開放し、難民としての保護を与えることが必要である。
  • テロリストたちはテロを終わらせることはできない。それができるのは民衆のみである。

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