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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL004-含み益  98/APR/29 朝刊1面「有価証券含み益6兆6000億円減」

日本の企業会計では、現在、取得原価主義を原則的な資産評価の基準として採用しています(原価主義とか原価基準とか言われたりします)。

どういうことか、と言うと、企業の決算書上の資産価額は、それを買ってきた時の値段で計上するということです。例えば、A社の株式を1株5千円で100株買ってきたとすると、買った企業の決算書にはA社株式が500千円として記載されます。

ところが、物の値段はその時々で上がったり下がったり。1年後、A社の株価は8千円だったとします。それでも、取得原価主義の下では、決算書の金額は変わらず、500千円のままです。でも、もし市場でA社の株式を売却すれば、800千円もらえますよね?この、800千円(時価)と500千円(取得原価)との差額の300千円が、含み益です。

一方、A社の株価が3千円だったらどうなるでしょ?取得原価主義の下では決算書の金額は相変わらず、500千円のままです。でも、もし市場でA社の株式を売却すると300千円しかもらえません。この、500千円(取得原価)と300千円(時価)との差額、200千円が、含み損となります。

つまり、この含み益あるいは含み損というのは、時価と取得原価との差額部分にあたります。古くから存続している企業の場合、有価証券や土地などに巨額な含み益が存在していることがよくあります(例えば30年前、土地はいくらだったでしょう?)。この記事の銀行なんかもそうですね。

ここのところ「時価会計」などという言葉がよく聞かれますが、これは資産を時価で評価することによって、含み益あるいは含み損についても企業の決算書上に反映させようとするものです。取得原価主義の下では上述の通り、時価の影響は決算書に出ません(売却しない限り)から、企業の本当の財政状態がわからない(特に日本の古い企業は)、という批判に応えようとするものです。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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