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日経新聞入門講座

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VOL026-株式持ち合い  98/DEC/25 朝刊3面「株式持ち合い解消加速」

株式持ち合いとは、文字通り企業同士が相互に相手の株式を持つことです。株式持ち合いの目的としては、株式の安定化、企業間の取引関係強化、グループ化、経営権の取得などが考えられます。日本的経営の特徴の一つとしてよく取り上げられますね。1960年代から安定株主工作として急速に広まったものです。

少し数字が古い(イミダス’96より)のですが、1993年においては日本企業の株主は、40%が金融機関、事業会社と個人が24%ずつ、残り12%はその他となっています。アメリカはどうかというと、1991年において、51%が個人、年金が27%、残り22%がその他です。

記事中のグラフを見ると、93年以降銀行、事業会社共に持ち合い比率が急激に下落していますから、上記の数値より現在は低いと思われますが、いずれにしても、アメリカとは全く異なった株主構成であると言えます。従来からこうした日本独特の株式持ち合いによる、株式市場への弊害や資本空洞化、閉鎖的な取引関係などが批判の対象となってきました。

それでも、日本企業は株式持ち合いを止めませんでした。それは持ち合いによる効用があったからです。取引先との関係維持や安定株主としての存在(だから日本の株主総会はシャンシャンで終わるという見方もできますね)、資金調達の安定(日本企業は株式や社債の発行という直接金融よりも、銀行からの借入という間接金融を資金調達の主な手段としていますから、銀行との関係維持が重要なのです)など、大きな効用をもたらしていました。

しかし、どうやら資産効率という黒船がやってきたようです。資産効率とは、各資産がもたらす収益性とお考えいただければいいかと思います。持ち合いしている株式は、売却しないことを前提にしていますから、その株式から得られる収益は配当だけです。しかし、配当の収益性は大変低いですから、持ち合い株式の資産効率は低いということになります。

記事にもありますが、持ち合いによる効用を取るか、資産効率の改善を図るか、日本企業はまたまた難題を抱えてしまったようです。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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