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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL030-リストラ  1998/FEB/20 朝刊1面「NEC、1万5千人削減」

日付順にご紹介するのを基本としていますが、今回はちょっと順番を変えます。

NECの大規模なリストラ計画が1面に躍っています。東京証券取引所1部上場会社で、株価は1,054円(2月19日終値)ついている企業です。

NECのリストラ計画は、「大手電機メーカーとしては突出した規模」だそうです。しかし、3面の関連記事では、「リストラだけ進めて世界規模での戦略構築に打ってでないと、再び浦島太郎になってしまう。」「事業売却など痛みを伴う構造改革に迫られるのは必至だ。市場の厳しい目にさらされるなか、事業の<集中と選択>が避けされない。」と、かなり厳しいコメントが続いています。

リストラという言葉は、リストラクチャリング(restructuring)の略語ですから、本来の意味としては事業の再構築であって、それは事業戦略無しには行えないはずなんですが、最近は、リストラという言葉が一人歩きしていて、合理化策一般、特に従業員削減を指していることが多いようです。

多くの製造業が固定費の負担に喘いでることは、このページを読まれてきたお母さんにはお判りのことだと思います。そういう意味で、これだけ多くの人員削減をすることができれば、その負担は随分軽くなることでしょう。しかし、それだけでは不十分だと記事は指摘しています。

社会全体がものすごく早いスピードで変化をしています。しかも、このNECが事業分野として選択しているハイテク市場は、その変化のスピードが最も速い市場の一つと言ってもいいかも知れません。その変化にどのように対応していくのか、明確な戦略無しには、NECとて生き残ってはいけないと記事は警告を発しているのだと思います。

 

この記事を考える時に、2月14日の7面に載っていた「経営の視点:ナンバーツーの凋落に学ぶ」というコラムが参考になると思いますので引用しておきます。

「<それぞれの業種で勝ち組と負け組がはっきりしてきた。>(安居祥策帝人社長)との認識が経営者の間に広がっている。こうした空気がM&A(企業の合併・買収)を活発にして、産業再編成の大きなうねりを引き起こしている。」

「ナンバーツーはこのような負担やリスクを免れ、そこそこ大きく、そこそこもうかった。安定した業績を背景に従業員も比較的のびやかな風土の中で、大企業の社員として高い社会的地位とそれなりによい処遇を享受できた。」

「スピードの遅さといい、ナンバーツー的な欠点は実は、多くの企業に大なり小なり見られる。産業政策による保護や系列取引などでつくられた業界秩序の中で右肩上がりの時代には、トップ企業を模倣するのが経営的にも効率的だった。」

「多くの企業も、内なるナンバーツー的な体質を払拭しないと、いずれは負け組に仲間入りだ。」

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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