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VOL031-キャッシュフロー計算書  1999/JAN/19 朝刊19面「キャッシュフローを読む」

VOL029会計制度変更のトピックスにも、キャッシュフロー計算書を取り上げました。この記事は、既にキャッシュフロー計算書を公表している企業を取り上げて分析しているものですが、ここでは、キャッシュフロー計算書が新たに財務諸表に加えられた理由について説明してみましょう。

なぜ、キャッシュフロー計算書が日本の企業会計に導入されたか、と言えば、会計基準の国際化の影響ということになります。アメリカでは既に財務諸表の一つとなっていますし、国際会計基準でも作成が要請されています。

では、なぜキャッシュフロー(キャッシュフロー自体の意味はVOL015を参照して下さいね)の意味が注目されるようになったのでしょう。国際会計基準が作られる際にも、比較可能性というのがテーマでした(VOL024国際会計基準を参照して下さい)。このキャッシュフロー計算書も、また比較可能性が背景にあると思います。

損益計算書は企業の経営成績を表示しているものですが、ある一つの事象が発生した場合に複数の処理方法が許容されている場合があります。例えば有価証券の評価については、原価法と低価法の2つが認められていますが、原価法を採るか、低価法を採るか、によって損益が変わってしまいます。1億円の利益をあげている企業と2億円の利益をあげている企業があっても、単純に2億円の企業の方が良いとは言えず、会計方針の違いによる影響を除かない限り、厳密には比較できないことになります。

しかし、キャッシュフロー計算書は、現金等の増加と減少という事実に基づいて作成されるものですから、会計方針の違いによる影響を受けることはありません。従って、比較可能性が確保される訳です。

ちなみに上記の「現金等」は正確には「現金及び現金同等物」と定義されています。現金にはいわゆる現金の他、普通預金や当座預金などが含まれ、現金等価物には、譲渡性預金や預入期間が3ヶ月以内の定期預金などが含まれるものとされています。

「本当はどうなんだ?」という株主や投資家の厳しい情報開示への要求が新しい財務諸表を生み出したのです。社会や経済の変化に応じて会計もまた変化を続けています。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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