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日経新聞入門講座

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VOL044-違法配当 1999/JUN/07 朝刊1面「長銀疑惑」

ごめんなさい。また、日付が戻ります。

「日本長期信用銀行の98年3月期の粉飾決算疑惑で、東京地検特捜部と警視庁は」<中略>「元頭取(63)らを商法違反(違法配当)」<中略>「で立件する方針を固めた模様だ。」

違法配当ってどういうことでしょうか。文字通り、法に定めたルールに違反して配当を行ったということですよね。

商法では、株式会社の株主に対する利益配当をする金額について一定の限度を定めています(商法第290条)。あれ?株主は株式会社のオーナーなんだから、どれだけたくさんの配当をもらったっていいんじゃない?と疑問に思われたとしたら、お母さん、本当にこのコーナーをよく読んでいただいていますね〜。感服です。

確かに株主は株式会社のオーナー、つまり持ち主です。だから、株主の基本的な権利として、その会社が儲けたお金を配当としてもらう権利があります(VOL042をご参照下さい)。

ちなみに、配当はインカムゲイン(利息・配当収入)と呼ばれ、株式投資の魅力の一つとされています。しかし、但し、日本の場合は安定配当政策と言って、たくさん儲かった期も、あまり儲からなかった期も、配当金が変動しないような方針を取る企業が多かったため、配当金額には魅力を感じられず、もっぱら、もう一つの株式投資の魅力である、キャピタルゲインと呼ばれる株式の値上がりによる売却益を目当てにする株式投資が中心でした。

しかし、オーナーだからと言って何でもしていい、ということはありません。株式会社は確かに株主から集めたお金を元手(資本)として運営されていますが、株式会社に関わる存在は、株主だけではありません。

債権者という存在もあります。例えば、お金を貸し付けしている銀行、納入した商品の代金を支払ってもらっていない企業、その他、先月の残業代をまだもらっていない従業員も債権者の一人です。会社の未払金とか買掛金、借入金などの相手先が債権者です。

もし、オーナーたる株主に際限なく配当金を支払ってしまえるとしたら、この債権者たちは安心してその会社と取引ができるでしょうか?

このため、商法は、債権者の権利も一定の範囲で保護しようと考えました。それが配当に対する限度額の設定です。

ちなみにこの商法第290条は、たこ配当の規定とも言われています。たことは、海にいるあの蛸のことです。蛸は自分の足も食べてしまうと言われていますよね。自分の身体をさえも配当して(食べて)しまう会社、ちょっと恐いですよね。

 

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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