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VOL064-IRとPRとディスクロージャー 番外編21

最近、IRという言葉をよく見かけます。株式市場が低迷している現在、IRにより投資家から評価を得たいと考える企業は多いと思います。しかし、その一方で、ここのところ起きている様々な事件をみると、企業の情報開示のあり方が問われていることが多いです。そこで企業の情報提供あるいは情報開示という観点から、これらに関する言葉を整理してみましょう。まずは、IRの意味を確認してみましょうか。

IR[ investors relations ]
 インベスター・リレーションズの略。自社株の投資価値を既存の株主や投資家に訴え,株主のすそ野を広げていく一種の広報活動を指す。投資家がリスクを取るに足るだけの情報を提供し,結果として株が買われて株価が上がれば,資本市場を通じた資金ファイナンスを円滑に進めることができるとされる。(日本経済新聞社編経済新語辞典2000/2001年版)

IRに似ている言葉で、PRという言葉もありましたよね。どう違うんでしょうか?

PR(public relations)
 企業や組織体が公衆やメディアや関係諸機関と良好な関係を作るために行う活動。(集英社刊 Imidas 2000)

つまり、IRは投資家向けの情報提供活動で、PRはもっと広く一般向けの情報提供活動とまとめることができます。さて、投資家向けの情報開示と言えば、もう一つ言葉が浮かんできます。ディスクロージャーという言葉です。

ディスクロージャー[ disclosure; corporate disclosure ]
 狭義には,主として投資家保護の立場から企業の内容を一般に公開すること。その際,じん速,公平,正確さの3原則を同時に満たすことが求められる。
 ディスクロージャー制度の大枠は証券取引法,商法が定めているが,証券取引所や,大蔵省,公認会計士,証券会社,報道機関などの動きも上場会社のディスクロージャーを促進させている。わが国では欧米に比べ3原則とも見劣りが避けられず,個人投資家保護のため,いっそうの改善が望まれている。(日本経済新聞社編経済新語辞典2000/2001年版)

はてさて・・・。

IRとディスクロージャーは投資家向けの情報提供ということでは共通しますが、前者は一種の広報活動、後者は、投資家を保護するための制度であるというところが異なりますね。制度には、一定のルールや基準がありますが、広報活動はそれぞれの企業が自由な判断で行うものです。

もっとも、投資家向けに情報を提供するという視点で考えた場合、IRとディスクロージャーの対象になる情報の種類にはそれほどの違いはないだろうと思います。従って、まずは、制度上求められている情報開示をしっかり行うということがIRの前提となりますし、また以前に取り上げた言葉ですが、企業が自らのアカウンタビリティ(VOL045をご参照下さい。)を果たすということでもあると思います。しかし、上の説明にもありましたが、日本のディスクロージャー制度はまだまだ十分なものではありません。単に制度上求められるものを満たしているだけではなく、より積極的に、公正に、迅速に情報開示を行う姿勢が、現在の日本企業には求められていると思います。

そして、それに応えていこうとする姿勢そのものがIR活動へとつながるのではないでしょうか。しかし、そのためには、投資家がどのような情報を必要としているのか、投資家の立場に立ってそのニーズを把握しなくてはなりませんし、また、自社にとって投資家とはどういう存在であるのか、何のためにIRを進めるのか、自社の経営戦略の中でIR活動がどのように位置づけられるのか、などについて明確な回答をもってIR活動を進める必要があると思います。

 

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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