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VOL063-現金主義と発生主義 番外編20

前回、会計帳簿の記帳の方法に2つありますよ、というお話をしました。今回は、VOL049-国の貸借対照表でも出てきた言葉ですが、会計帳簿にどういう場合に記帳をするのかというルールに関する2つの考え方(現金主義と発生主義)について取り上げてみましょう。

実際のケースを想定して考えてみましょうか。

機械を買った場合を考えてみましょう。注文した機械が手元に届いてから、後日、その代金を支払うという契約をしたと仮定します。

このケースにおいて、機械が届いた時に帳簿に記帳するのが、発生主義です。一方、代金を支払った時に記帳するのが、現金主義です。従って、例えば、11月11日に機械が届き、その代金を12月31日に支払ったとすると、発生主義の場合は11月11日に機械を後日払いで購入した旨が記帳され、12月31日に機械の購入代金を支払った旨が記帳されますが、現金主義では12月31日に機械の購入代金を支払った旨が記帳されるだけとなります。

発生主義とは、経済的事実(このケースでは、機械を買ったということと代金の支払いということですね。)が発生した段階で帳簿に記入するものです。一方の現金主義とは、現金の出入りがあった段階で帳簿に記入するものです。

現金の出入りを伴う取引の場合は、現金主義と発生主義において、取引を帳簿に記入するまでに時間的な差異(このケースだと11月11日と12月31日)が認められますが、その取引自体(機械を購入したこと)が帳簿に記入されるかされないかということから考えると、長期的に見た場合、最終的に帳簿に記入されるという意味においては、同じになる(下記注参照)と言っても良いと思います。

ところが、企業や組織の行う取引には、現金の出入りを伴わないけれど経済的事実が発生する取引というのもたくさんあります。会計用語で言えば、減価償却とか引当金などが該当します。これらの言葉についてはまた後日ご説明するとして、これらの取引については、発生主義では、その取引を帳簿に記入することになりますが、現金主義では、その取引を帳簿に記入することはありません。つまり、この、現金の出入りを伴わない経済的事実が発生する取引については、現金主義と発生主義では、帳簿の記載の有無自体が異なることになります。

一般的な企業や組織の行う取引が全て現金の出入りを伴う取引である、ということはほとんどあり得ないだろうと思いますので、現金主義による帳簿と発生主義による帳簿では、そこに記載される内容が異なるものであるということになります。

(注)上のケースで、機械が届いてから代金の支払いがあるまでの間に、決算が来るような場合、発生主義では機械の購入が帳簿に記入されているのに、現金主義ではまだ帳簿に記入されていない、ということになりますが、長い期間、このケースでは2年間を一つの単位として考えれば、機械の購入取引は帳簿に記入されていることになります。

 

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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