白い線(1997.4.27)
白い線(1997.4.27)
歩行は
転げるように
街の輪郭をぬって
幾筋かの髪が沈んでいく
電線の影は乾いたアスファルトに
黒い澱を敷いている

ふと前を見ると
街路に
つぶれた缶を山盛りにした車が
走っていく

建物は白く
焼き付き
焦げ

記憶のリンドウの花房が
駅で灰になっていた

まだ
薬屋のわきを抜け
罅のあいだに
すぐ乾く体液を湿らせるため


肩に火が揺れ
線のあいだを
縫って
重い額が
飛んでいった

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