トラフィック・インフォメーション(1997.6.23)
トラフィック・インフォメーション(1997.6.23)
たぶん
蟻になる
こうして地をすべって
いっせいに繁殖した
人たち

あ まだ生きてるのか
僕のアタマも
あなたのアタマも移動する
コギト
の
ラーメンが
びゃーっと
噴きだすかもしれない

この車両は
菓子でもなければ
なめくじでもなく
すっぽんでもない
しいていえば
ピロンちゃんだ
ピロンは
筒

電光掲示板の
トラフィック・インフォメーションが
流れていく
コーヒーの最後の一滴を
飲み終わる
斜め向かいの男が
あしたのG1レースを
予想しているのが
見える

風はリンパ液色で
青林檎が
網棚からぽつりと落ちる

なんじ
ファッカーよ
地引き網をひけと
慎ましい漁村の女房が
ささやく

有形はむなしい
煙草の煙に
罅が入る

あのストリップ劇場につづく道が
ぼんやりと
参道のように見えてくる
|街(詩と映像) 目次|
前頁(冬の罠(1999.1.11))|
次頁(白い線(1997.4.27))|
ホームページへ