ウェザー・リポート(1999.5.2)

ウェザー・リポート(1999.5.2)




ときどきわからなくなる
雲のあいだに思念がかさかさ渇いて
記録が冷たくなる



風を求め
失踪する
すかすかの袋のなかに



風洞は耳から右手へと貫く
方角を銀の魚のように
変えながら



走る銀は耳から
足へと沈殿するのだろうか



雨を呼び込んだ後に
マンホールの蓋に
神経の絡まった塊が消える
それらはリポートされるから
バスは等圧線を下りていくから



水が木に鈴なりになる
そのひとつひとつに
封じた僕の領域が
釘のように曲がる



街の
用のない案山子は
ある囁きを空に献じる



透き通るかもしれない
たぶん
夏の
森で
一日だけ


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