はじめに


 以下の往復mailは、2月1日、東京・駒込で行われたミッドナイト・プレスEXが主催したライヴ・ポエトリー・マガジン『なまもの』における、鈴木志郎康さんと僕とのトークショーの準備として交わしたものである。これは印字して当日会場に来てくださった方に配布したもので、ここに公開する際、鈴木さんの了承を得、誤字・脱字を訂正するだけにした。
 読んでくださればわかるように、ここのところ鈴木さんがご自分のHomePageで試みている『詩の電子図書室』にかかわる、ネットワーク上の著作権の話題が中心を占めている。
 僕としてはこの問題はわざわざ藪のなかをつついてイタチを出すようなことで、できれば曖昧な推移のなかで徐々に議論されればいいな、と思っていたのだが、いったん藪を棒でつついた以上、ノーテンキではすまされない問題でもあった。
 鈴木さんの最後のmailにあるように、これまでの電子図書室に掲載された詩集は僕の主張のようなマナー的な手続きはアウトラインではちゃんと取られている。しかし、鈴木さんはその上でまだちょっと不安ではなかったのかと推測している。また、推移によっては問題が発生してくる可能性も僕には否定できないと思った。
 僕がこの問題において願うのは、鈴木さんの尽力によって順調に『詩の電子図書室』を発展させて、よい詩集をネット上で読んだり、それを印字して楽しむ機会を与えられるということである。
 もちろんのことだが鈴木さんの文章にも僕の文章にも、「アナ」がある。つまり、ノーテンキな部分は少しあるだろう。読者の方はこれを試論として認識してくだされば幸いと思っている。
 最後に蛇足ながら書くと鈴木さんは僕を「紙の上の人」と呼んだが、僕は「紙の上の人」でも「電子の人」でもなく「言葉の人」であり、鈴木さんも同じ「言葉の人」に違いないと思っている。

1997.2.3  清水鱗造


鈴木志郎康―清水鱗造 往復書簡('97.2.1「なまもの」のための) 目次次頁(1通目)◆
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