Perl事始め その4(1998.1.21)

Perl事始め その4(1998.1.21)



「凶区」という詩誌はその時代('60年代後半)の現代詩の空間的位置から見れば、都市の時代の開幕を告げているようなところがある。わざわざ空間的位置というのは、戦後思想がシステムによって平らにならされて、現代詩がちりぢりの時代に入ったと思うからである。たとえば7並べの4つの連続した数字に次のカードを埋めていくようなゲーム、いや4つの種類では足りない。その一つのたとえばクラブの7の次にクラブの8を置いた、こういう比喩で渡辺武信、天沢退二郎、鈴木志郎康、秋元潔、山本道子などの文学活動があった。根幹的な潮流をそれと別に措定できないこともない。あるいはまた、寺山修司や北川透のような配置がはっきりしている個々の詩人もいる。しかし、それらは実は様々なアイテムの7の次にくる8を置いたのであって、そのことは分析するに値する。
 ところでたしか、カードに詩句を書いてシャッフルするごとに新しい詩を生成するという試みを渡辺武信がやったように思う。これをPerlでやると簡単である(と急にPerlの話になる)。下のをたとえばshu.plという名前で保存して、MS-DOSプロンプト入力行から
 perl shu.pl
 とやると入力を促されるので、たとえばpoem.txtといれてリターンキーを押すと、shu.txtという元のファイルの行がランダムになったファイルができる。『らくだ本』のスクリプトを多少改変しただけのものである。poem.txtはシャッフルしたい詩である。

######################################
#詩作品の行をシャッフルして表示する。#
######################################
$file = <STDIN>;
open(FILE,"$file");
open(OUT,">shu.txt");
@a = <FILE>;
{
local(@temp);
push(@temp,splice(@a,rand(@a),1))
while @a;
@a = @temp;
print OUT @a;
}

 これで、7行に試みに作った詩を4回シャッフルして、空行をいれてつなげるとロンドふうの詩になった。重みが同じようなイメージと、辞によって違和感のない詩ができる。まあ、これは都市が遠望できる机上でできるところと、良い「臭み」がないところがカード詩とは違う冷たい遊びかもしれない。しかし、人情も底までみれば凍り池、ということもある。これは、配列をランダムにする練習である。

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