デビッド・マッカラムの金髪(1998.1.20)

デビッド・マッカラムの金髪(1998.1.20)


イギリスミステリーふうに
長い小題の付いた
いくつかに分割されている
30年も経っての再放送
「口ひげの男は変わったマシンをもっている」
「恋はマッチの火の消えるまでのこと」
「サボテン好きの男がなぜ毒の瓶をポケットに入れているのか」
「舳先にくくり付けられた油紙のメッセージ」
「ほらお嬢さんスリップの紐が見えてますよ」
「チョコレートを頬につけたボスは気のいい老人に戻る」
でたらめに考えた小題だ
ローハイドのフェイバーさんも
たしかに人格者だったし
よきアメリカと伝統が感じられた男たちだった
サザエさんの家状態で
テレビの前で異国の物語の興奮を感じている図が
とりあえずの家族の姿だった
ところでサザエさん一家は
きっちり時間などは守り
働いてはいるが
とても
めんどうな手続きを学んで
ようやく再放送にたどり着く
デビッド・マッカラムは金髪だったが
モノクロで見ても
たしかに金である

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(木の輪(1998.1.27))次頁(冬景の布置(1998.1.13))

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