鏡(1998.10.27)

鏡(1998.10.27)


鏡には
ふさわしい断片がある
反り返って
そして
燃えてしまう紙
反り返って文字は
識別の閾値を超え
砂に解けてしまう

鏡には
彼の父の文字があって
悶えながら
反り返り
燃えて
彼が父になる

そのドブ板の隙から見える
鏡のひとひらには
ふさわしい文字の
染みが
見る眼から投射される

清水鱗造 週刊詩 目次前頁(8800(1998.11.3))次頁(境界(1998.10.20))

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